第144話 騎馬戦 ②
「あんたらをここで蹴散らして、純潔評定を挙げさせてもらう!」
「えーっと、どの一族の人だっけ?」
「エキノプス一族だ。正直言って純潔の中でもランクは下も下。完膚なきまでに叩きのめすぞ、エルヴィラ」
「言われなくても! 騎馬戦に勝って優勝狙うんだから!」
エルヴィラの声を合図に魔法合戦が始まった。相手の騎馬は全員が雷属性を扱い、騎手と馬を交互に狙っている。
「エルヴィラ、パターンBだ。やってやれ」
アーネストの騎馬はエルヴィラの前に出て地属性で防御する。
「了解! みんな足元留守中だもんね!」
その隙にエルヴィラが氷属性で相手の騎馬の人たちの足元を凍結させ、動きを制限していく。動けなくなっている隙にアーネストが地属性魔法を発動し、岩のハンマーで騎手を殴り落とした。
「これであと2組。エキノプスの奴は最後に取っておいてやる。奴の攻撃精度も全く良くないし、簡単に防げる」
雷属性魔法の攻撃は確かに雨のように降り注いでいるが、エルヴィラとアーネストは直撃しそうなものだけを防御し、最小限の動きで捌いている。その二人の姿は、弱者の抗いをねじ伏せる強者のごとき姿に見えた。