第141話 彼女の気持ち
教室にはすでにエルヴィラとアーネストが戻っていた。二人は神妙な表情をして戻ってきた私たちを、いや、私を見ていた。
「マリア……」
「戻ったか。ちょっと聞きたいことがあるんだ」
「どうしたの、二人とも。そんな怖い顔して」
「実は、さっきみんながいないとき、私とアーネストでソルベルクに抗議に行ったんだ。こんなことが起きたのに、体育祭を純潔一族としての意見一つで続行させるのはあまりにひどいって」
「あいつは言っていた。続行する理由に、従属一族の評価のためと、君との約束のためだってね。アルマリア、君は一体、彼に何を約束したんだ」
奴はここに来てエルヴィラ達を巻き込むつもりだろうか。このまま素直に話したら、次は何を言われるか分かったものじゃない。私は率直な反応で二人の応答した。
「ごめん、これは私の問題なんだ。私がやらなきゃいけないことがあるんだよ。だから、この場では何も言えない。皆には見守っててほしいんだ。お願い」
二人は押し黙る。そしてエルヴィラは口を再び言葉を紡ぐ。
「まあ、アルマリアのことだからそう言うと思ったよ! でも、本当に危ないことになったら、問答無用で助けるからね」
「君を純潔一族の上位たちに搾取させたくない。もし変な条件を言われていたら、僕が助け出すから」
「はい、二人とも暗い難しい話しは終わり! どうせぐちぐち言っててもどうせ時間が来たらはまた始まるんだし、休憩しよ休憩! あたしは寝る!」
重い空気をメーヴィスがはじき出し、明るい雰囲気に戻す。こういう時に彼女のその無邪気で何も考えていない明るさは大きな助けになる。私たちは彼女の言葉に同調し、教室に入って各々休憩に入ったのだった。
これから始まる、本当の闘いに備えるために。