第140話 お互いの背後
無情なる放映が終わり、私たちは力が抜けて脱力する。まさかこんなことがあっても、体育祭を継続しようとするとは。
「本当にやると思う、イヴ?」
「や、やると思う。純潔一族の意見は絶対的だし、それに、街政の偉い人が純潔で、しかもその親族が生徒でいるんだから、あの言葉通りに動くしかなくなると思う」
「それがこの国の純潔一族の権力ってものだ」
私たちの会話に急に入ってくる声が聞こえた。見ると、そこにはジークとオズマンド、メーヴィスがいた。
「お疲れ、アルマリア! いろいろと大変だったね!」
「こちらの方も少し落ち着きました。しかし、ソルベルク氏があんな決定を出すなんて、一体何を考えているんですかね。私の情報だと、あまりこういう行事には興味ないと思ってましたけど」
「そんなの決まってる。従属一族たちを焚きつけたいんだろ。恐らく裏で特別な評価について広めてるんだろうな。それで、何が何でも評価が欲しい奴らが、必死にもがく姿を見て見下しながら笑みを浮かべたいんだろ」
ジークがフィオレの方を見る。彼女はもじもじと落ち着かない様子で声を出す。
「あの、えっと……」
「悪いなフィオレ。お前が所属する純潔のことを悪く言って。でも俺は、フィオレはそういう評価のために何でもやるような奴らと一緒とは考えてない」
「ジーク……」
彼女は少しだけ、喜びとは違う表情を見せ、すぐに笑顔に変わる。
「んじゃ、とりあえずあたしたちは教室に戻って休も! エルヴィラとアーネストは先に戻ってるし、待たせると何言われるか分かんないし!」
メーヴィスの声を合図に、私たちは教室へと戻る。フィオレの熱い視線がジークに注がれ、私はフィオレに優しい視線を送りながら。