第137話 二人の連携
防衛線を突破し、魔物を呼び出す魔具を使っている輩を視界にとらえる。こちらに気づいた輩はこちらに向けて再び魔物を呼び出す。出現したのは中位のリザードマンで、今の私たちでは複数人でかからないと危険だ。
「アルマリア、こいつは俺たちがやる。ミオソティスとあいつを止めてきてくれ」
「大丈夫! あたしだってちゃんと天性属性の扱い上手くなってるはずだし!」
「まあ、私とジークとイヴリンがいればひとまず大丈夫でしょうし、任せてください」
「ミオ……無理はしないでね」
ジークの大火で大きく隙を作り、メーヴィスの重力で動きを止め、オズマンドの水の巨大蟹のハサミをハンマーにしてリザードマンの顔面に叩きつける。イヴリンはずっと魔法を発動し、何かの運命を操っていた。
「ミオ、あいつの動き、止められる?」
「やれる……っ」
ミオは急にせき込む。手を添えたが、その手には少し血もついていた。口元にも血が少しだけついていた。
「ミオ! それって……」
「大丈夫だから、心配しないで。ほら、今はこっちに集中しないと。私が動きを止めるから、最後はアルマリアが決めて」
そう言うと、再びミオは視線を輩へと向ける。彼女の目から見たことのない魔方陣が発動した。途端に輩がお腹の方を抑え、痛みを我慢するようにして唸る。私はすぐに風属性の砲弾を準備して撃ち出した。私の攻撃に気づくと同時にそれは顔面に衝突し、大きく吹き飛ぶ。地面に倒れ込んだ輩は白目を向いてよだれを垂らし、そして彼が持っていた魔具により出現していた魔物たちは徐々に時空間属性魔法によって消えていった。魔具の効力がなくなり、元の場所へと強制送還されたのだろう。
私はすぐにミオの傍に駆け寄る。ミオは力なく地面に座り込み、口で息をしていた。