第136話 氷地の槍
魔物の群れは絶え間なく襲来する。その魔物の波を私たちはそれぞれの天性属性と得意属性を使って迎え撃つ。ミオも息を整えながら悪魔の鎖を使ってサポート的な動きをする。
「ミオ、無理しないで良いよ」
「ううん、大丈夫だよ。動けるときに動きたいんだ。いつ動けなくなるか分からないから……」
「ミオ……でも、その力は……」
「良いんだイヴリン。別にバレても問題ないよ。だって……ううん、今は集中しないとね」
「ミオすごいじゃん! それなんの属性魔法なんよ??」
メーヴィスはこんな状況でも明るく積極的に話しかける。ミオは彼女の積極さにも答えようとする。
「これはね。魔眼の能力だよ。詳しいことは後でゆっくりと教えてあげるよ」
「何それ聞いたことないわ! 知ってなきゃヤバい系??」
「メーヴィス、質問攻めは今じゃないですよ。徐々に魔物の群れも、強さも強くなってきてます。長期戦は避けないといけないですよ」
「あ、口調が元に戻った! オズは切れるとほんとに冷たい口調になるよね! 切れるとヤバい系だわ!」
「全く、なんでこうも戦いながらお気楽なこと言えるんだか。本気で君たちのような人たちの気持ちが分からないね」
「こういうときこそ、雰囲気を和ませる奴がいるのが良いんだが。純潔はぴりついた空気が好きなのか。そうかそんなマゾっぽい趣味持ってなかったから分からなかったな。高貴なご趣味なことだ」
「ジーク、こんな時までそんなこと言える余裕があるんだな。アルマリア、君はさっきいた通り、あの狂った発動者を倒すんだ。僕がそこまでの道を開く。このままだと埒が明かないし、いずれ押し切られるぞ」
「お、アーネストだけにいいかっこはさせないよ! あたしもやる! あたしたちで道を開くよ!」
「アーネスト、エルヴィラ……うん、分かった。お願い」
二人は頷き、私の前に出る。
「アーネストに合わせるよ!」
「分かった。いくぞ」
二人はそれぞれの天性属性を発動する。エルヴィラは氷属性、アーネストは地属性の中魔法。
アーネストの地属性魔法は地面から無数の槍柱を作り出し、エルヴィラは空中に大きい氷柱を発動、空と陸からの挟撃で大量の下位魔物の群れを一掃し、私たちの道は空いていく。そして、前方にはあの発動者の姿を捉えることが出来た。
「皆行って! 後ろから追撃されないように守っておくよ!」
「このままエルヴィラと僕で後ろを守る。後は任せたぞ、アルマリア」
私は頷き、その発動者へと向かった。