第135話 団結の意志
前線は熾烈を極めていた。魔物はどんどんと湧いて出て、戦う勇者たちはひたすらに魔法をぶち込んでいた。疲労で立てなくなる人もいて、その攻防は無限に続くのではないかと思ってしまうほどだ。
その中で私はエルヴィラを筆頭にする班を見つける。どうやら私の友人たちは一緒になって戦っていたようだ。
「みんな!」
「イヴリン、大丈夫?」
私は声をかけながら、風属性魔法を魔物の群れへと撃ち込む。ミオは悪魔の鎖を発動して魔物を拘束し、拘束した魔物を振り回して他の魔物を薙ぎ払った。
「マリア! 来てくれたんだ!」
「ミオ……なんで……」
エルヴィラは笑顔を咲かせ、イヴリンはミオの姿を見て曇り空になる。そんな二人をよそに、ジークとアーネストは冷静に状況を共有する。
「おいアルマリア。こいつら全然減らねえんだ。対策を早く考えないと押し切られるぞ」
「僕もこの手の知識は疎くてね。全然解決策が出てこないんだ。特にこの近接特化の男は知識面じゃ何にも役に立たないんだ」
「お前、こんな時でもその嫌味の言葉吐くとかマジで状況判断も出来ねえ坊ちゃんだな。邪魔だから下がってろ」
「はいはい、喧嘩はそこまで! オズが黙っちゃってるんだもん! マジでブチ切れる手前だからやばいよ! オズは怒ったら怖いよ!」
「……どうやら外部の方からも魔物が来ているようで、先生たちの人数は分割、騎士団長と数人の騎士たちはあの政治家の純潔一族の護衛に連れて行かれたみたいなんだ。つまり、この状況を打破できる知識がない状況。アルマリアならどうする?」
オズは淡々と状況を整理し、私に意見を求めて来た。私の知識で考えるのなら、選択肢は2つあると思っている。
「私の考えは2つ。1つは襲撃に来てる魔物を全滅させること。もう1つは、発動した術者を倒すことかな。でも、術者まで行くのに魔物の群れを越えなきゃいけない。でも、皆とならやれると思う。だから、私としては、術者の方を何とかしようと思うよ」
みんなが私を見る。そして同じタイミングで頷いた。意志は決まっていたのかもしれない。
「行こう、みんな。これ以上被害が広がる前に」
私たちは再び、魔物の群れと向き合った。