第134話 その目の力
「ミオ、これ、君がやったの?」
「……うん、そうだよ。さあ、イヴリンたちの方に行こう」
ミオは私に手を伸ばす。私はミオの手を取り、元来た道を戻る。魔物の群れの襲撃は四方八方から起こり、現場は混沌としていた。地面には血が飛びちり、勇気なき学生たちの悲鳴がこだまする。
ミオの瞳には、見たことのない紋様があった。
「その力って、一体……」
「そっか。まだ授業では名前も出てないんだっけ。私はね、魔眼なんだよ」
「魔眼? 確かに教科書でも出てきてない。それって、一体どんなものなの?」
「色々な影響のせいで、目に魔力が過密に溜まるんだ。その影響で目に特異な能力が出現するんだよ。その中でも強力な能力を開花したものを魔眼って呼んでる。その能力って言うのは、決まって悪魔に関連したものなんだよ」
「それじゃあ、その瞳の紋様は、その悪魔を表してるってこと?」
「流石はアルマリア。そうだよ。ちなみに私は、マルバスっていう悪魔の紋様があるから、能力もマルバスを象徴するものもあるんだよ。さっきのは魔眼に共通して使える悪魔の鎖ってところかな」
ミオはそういって、少し笑顔で私のことを見た。その笑顔は、どこか消えてしまいそうなほどに薄かった。