第128話 空に向かって決意を想う
そうして私たちは日々の練習に明け暮れ、気付いたら体育祭の前日にまで日は経過していた。皆もそれぞれの参加競技の最終調整のため、私は一人屋上にいる。
今日は快晴。明日も晴れる予定と天気に詳しい人たちが言っていた。少しずつ暑さの感じる時間も増え、夏休みが着実に近づいているのが肌で感じる。
「準備は順調のようだね。明日が楽しみだ」
「……絶対に私は負けないから」
「そうしてもらわないと僕も困るよ。ぜひとも力を振り絞ってくれ。明日は純潔協会の方々も見に来る。君にとっても力を見せれば家族ともども社会的に優位な地位も貰えるかも」
「心に想ってないことは言わなくていいよ。そういうのうざいからさ」
「随分ときついことを言ってくれるね。そういうの、むしろ好物なんだ。明日はもっと極上の物をくれるとうれしいな」
「……」
「君に一つだけ言っておくよ。君の番で走るメンバー、他のチームの情報を極秘裏に手に入れたんだ。君が一緒に走る人の一人にね、いたんだよ。君が守ろうとしているフィオレの姿がね」
「……お前!」
「おっと、そう噛みつかないで。ああ、それと、これも裏情報なんだけど、明日はもしかしたら体育祭は荒れるかもね。どうやら体育祭を破壊しようと魔物を呼び込む準備をしている人がいるみたいなんだ。でも大丈夫。純潔一族に認められたい従属一族たちが頑張ると思うからさ。それじゃ、明日は頑張ってね」
そう言って奴は長い薄青い髪を揺らしながら、時空間属性魔法で消えていった。私は晴れ渡る空に向けて、深呼吸したのだった。
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