第125話 鳥手紙 1
日が落ち、夜の空へと染まっていく。私は全身に激しい疲労を感じながら、よぼよぼと帰路についていた。リンとの練習はかなりハードで、バトンを渡す利き腕を始め、全身が疲れていた。私は途中にある広場により、ベンチに座って休憩することにした。
すると、上空から白い鳥が私に向かってきていることに気づいた。その鳥はゆっくりと私に近づき、座っている太ももの上に降り立つ。それはよく見ると、紙で出来た鳥だった。
「これって、『鳥手紙』の魔術……」
それは魔術の一つで、インクが染みた手紙を2枚用意し、1枚を鳥にして送り先に飛ばすもの。そしてその手紙に向かって会話をすれば、会話内容が文字になって相手が持っている手紙に文字として現れる。要は連絡手段の魔術だ。声じゃなくて文字なのは、確か文字の方が負担が少なく便利だからだと聞いた気がする。
その鳥手紙は体を広げ、1枚の手紙に変わる。そこには私の名前が書かれていた。そして、送り主の名前は――
「デルタケウス・グリフィス――おじいちゃんだ」
私の声に反応し、その手紙も反応を始めた。
『やあ、かわいい孫娘のアルマリア。この大空のもとで元気に過ごしているかな?』