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第116話 夜風と見る自身の心

 少し暑さ残る夜の時間。一人のごはんを終え、私は家の屋上に座っていた。まだ心に宿った熱が引かず、夜風に当たっても気持ちが落ち着かない。

 なぜ選抜リレーに自ら立候補したのか、自分でも不思議であった。自分は足が速いわけではない。強いて言うなら、風属性を使って素早く移動することが出来るかもしれない、程度だろう。

 

 種目決めが終わった後の放課後、私は誰とも話さず、素早く帰路に着いた。クラスメイトに質問攻めされるのが怖かったからだ。その時はエルヴィラともジーク達とも話したくなかった。それは心の本能がそう叫んでいた。


「もしかして、何も考えずに走りたかった?」


 小声で自分自身の心に問う。しかし、その答えは返ってこない。疲れるのが嫌というわけではなく、こういう目立つような、しかも選抜リレーのようなクラスの代表として出る種目など、やりたくないという気持ちもあったはず。私は、今日一番自身を理解出来ない日となったのだ。


「はあ、おじいちゃんに話したい……」


 おじいちゃんというのは父方の祖父だ。確か大学の教授で、主に考古学や歴史について教えていたはず。父方のおじいちゃんはなんでも私の話し相手になってくれた。小学生の戯言に、付き合ってくれた。話す言葉も大人って感じで、お父さんとは大違い。確か、まだ現代で確認されていない属性が古代にはあって、その研究をしていると当時は言っていた。今はどの程度進んだのか、聴いてみても良いかもしれない。


「まあ、もうやるしかないし、やるからには極力楽しもう」


 私を最後にそう呟き、部屋へと戻って行ったのだった。,

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