第110話 熱き青空の始まり
空は快晴。強い陽の光が窓から差し込み、教室の気温は上昇を続ける。私はイヴリンと傍にいる声の小さな薄いピンクの髪の少女と窓際で話をしていた。
「なるほどね。それで退院してから今日が初登校だったんだ」
「そ、そうなんだよ。私は病気友達だから、こうやって一緒に過ごそうと思って。ミオは弱気で消極的だからね」
「そうだね。イヴの言う通り、私は人と絡むのが苦手なんだよね。でも話せないわけじゃないよ。アルマリアのことはイヴから色々と聞いてたし、こうやって会えたのは嬉しいんだ」
「イヴ、一体どんな話をしたの? 恥ずかしいよ」
「ご、ごめん。ただ、私たちの馴れ初めを……」
「馴れ初めって言葉で表現しないでよね。確かに出会った場所が完全に夜の繁華街だったけどさ」
「運命的な出会いをしたって言ってたよ。羨ましいな。私も病気が無ければ、夜も出歩けるのに」
「確か、長く歩くと息が辛くなるんだっけ?」
「そうだね。でもそれは症状の一つってだけ。メインはもっと別にあるんだ。……それはまた今度話そ。ほら、そろそろ始まるみたいだし」
彼女が指し示した方向を見ると、教卓には体育祭実行委員の女子が登壇し、クラスメイトを制していた。その矛先は当然、私たちにも向けられる。
「アルマリアさん、イヴリンさん、えっと、ミオソティス・フランネルさん、体育祭について話すから、自分の席について!」
彼女の通る声が私たちの耳を貫いた。