表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

109/167

第107話 一定の不自由

 自然発生した強風は巨大な鳥へと形を変え、私たちを包み込む。そしてこちらに飛んでくるグラノルスの大魔法を両翼で弾き消した。衝撃で舞い上がる風は私たちを優しくなでて、そしてまた自然へと還って行く。


「やっぱり、君は……」


 アーネストの呟きを私は無視し、グラノルスを見据える。彼はつまらなそうな顔で私を見ていた。しかし、その瞳には涙が輝いていた。なぜそのような表情をしているのか、私には全く理解できない。そうこうしているうちに、グラノルスの隣から時空間属性魔法の魔方陣が出現し、誰かが出現した。その人はエルディン先生と時空間属性魔法で牽制合戦をしていた人物だった。


「おい、お前、いや、アルマリア」


 グラノルスは私の名を呼ぶ。


「自由はこの国じゃ最も曖昧な存在だ。誰もが誰かの下について、一定の不自由と引き換えに生きてる。お前がそれに抗い、純潔協会のもとに来ないのなら、それ相応の生活が待ってるぞ」

「そうなのかな? それなら私は学校卒業してこの国をを出ようかな。元々旅人になるつもりだったし」

「っ! マジで反論してくんなようぜってえな!」

「グラノルス。もう諦めなよ。いくら純潔一族で協会からの指示だったとしても、これはやりすぎだぞ」

「格下のシュプリンガー一族に助言される筋合いはねえよ。今回はお前たちの防衛勝ちってことにしてやる。次はマジで殺すつもりでやるからな」


 そんな捨て台詞を吐き捨て、グラノルスは時空間属性魔法と共に消えていった。その場に久しぶりの静寂が訪れたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ