第106話 蒼く澄んだ翼
世界がゆっくりと動く。こちらに襲来するグラノルスの炎属性の大魔法を迎え撃つジーク、エルヴィラ、アーネストの3人。彼らの属性防御魔法は悉く突破され、着実にこちらに近づいてくる。私は目を閉じる。どうするべきかを自身の心に問い詰める。グラノルスの言いなりになれば、この戦闘は終わるのだろう。ただ、それを許したくない自分がいる。その葛藤に3人を巻き込んでいる。その時、父方の祖父と会った小学生の夏休みにした言葉を、今になって思い出した。
「アルマリア。君はこの先、君に秘められた力に振り回される時が来る。君のその秘められた力は、自慢のために見せびらかすものじゃない。でも、逆に使わないで良いものでもない。アルマリアの綺麗な心のままに、使う時を考えてごらん。大丈夫だよ。アルマリアはとても良い人になる。おじいちゃんが保証するさ。そんなアルマリアが、使いたいと願った時、その力も答えてくれる。今はまだ分からないと思うけど、おじいちゃんの言ったこと、たまに思い出してほしいな」
私は目を開ける。今までも少しだけ使ってきていたこの属性魔法を、私はまた発動する。恐らくグラノルスが狙っているのはこの属性魔法だと思う。今回の一件で完全にばれるのかもしれない。でも、もうなるようにしかならないのだ。私は自由を追求する。その天性属性魔法と共に。
自然発生した強風は辺りを揺らす。
「優しき疾風、数多吹き荒れる僕を率いて、舞い上がる翼を示せ。『フレスヴェルグ・イーザエンブレイス』」
私は祖父から学んだことを、発動した。