第105話 朱く滾る翼
「いい加減に大人しくしやがれよ。こっちも必死なんだからよ」
「だから、なんでそんなに必死になって協会がマリアを狙ってるのか知りたいんだけど!」
「教えるわけねえだろうが。それに、協会の真意は俺にも分からねえしな」
「へえ、結局グラノルスも良いように使われてるだけじゃないそれ? ご立派な口はあっても
人の信頼に応えられてないんじゃ、しょせんはそこまでの一族なんだ!」
「……貴様の一族もしょせん、お前の兄の功績に甘えてるだけだろうが。もういい。手加減してやったのに、俺を怒らせたエルヴィラが悪いからな。生意気な準貴族と格下の雑魚野郎と一緒に消し灰にしてやる」
そういい、グラノルスはジーク達にさし向けていた大鳥4匹を呼び戻す。すぐにジーク達が私たちの所へと戻り、体勢を整える。
「大丈夫なようで安心した。流石はアルマリアだな。エルヴィラもいつの間にか成長してる」
「へへん、ジークにだって負けないよ!」
「おい、油断するな。奴の大魔法が来るぞ」
「大魔法……大規模魔法を中学生になったばかりで使える人いるの?」
「訓練していれば使える奴はいる。備えろ」
アーネストの言葉にみんなは防御魔法を展開する。私は心の中で少し悩んでいた。恐らく、またあの属性魔法を使えば恐らくグラノルスの魔法は打ち破れる。ただ、これ以上安易に使ってしまっても良いのか、気になってしまう。あの属性魔法は存在を知られてはいけない。調べられてはいけない。
私の葛藤をよそに、グラノルスは大魔法を唱え始める。
「大火を纏う怒りの心。天を焦がす大翼となり世界を灰に帰せ。『ブレイズソア・ガルーダ!』」
グラノルスの発動した炎属性の大規模攻撃魔法は私たち4人を丸々覆ってしまうほど巨大で伝説上に存在する鳥に変化し、凄まじい熱気を振りまきながらかなりの速さで私たちへと放たれた。