第104話 ヒートアップハーツ
地面が焦げる匂いが風に流れて私の鼻を刺す。グラノルスの使う炎属性の攻撃魔法は中、小規模級の小回りと魔力消費の低めの物を中心とした戦術で攻めてきていた。
私はエルヴィラの言っていたことを意識し、戦術は防御魔法を主軸に設置型の攻撃魔法を織り交ぜていくことにした。
(まさか教科書に載ってる攻撃種類を実践でやるなんて思ってなかったな)
小規模の水属性攻撃魔法の魔方陣を制御可能な範囲に設置し、数秒後に発動するように仕掛ける。そうして四方八方から飛来する炎属性の小鳥たちの応酬を回避する。防御に徹していても、水属性の盾では完全に消えずに飛んでくることもあるので、層を2重、3重にして何とか防ぐ。私の防御後の隙をエルヴィラが攻撃に転じて埋めてくれている。
「大丈夫! マリアには近づかせないから!」
「エルヴィラ、ありがとう」
「っち、腐ってもあの調子乗ってる男の妹かよ。生意気だぜ!」
「まあ、それもあると思うけど~実際、ジーク達に使ってる攻撃魔法の制御で余裕ないだけでしょ! 単体の魔法制御が上手くっても、結局まだまだお互いにおこちゃまだね!」
「言ってろ。そのうざった口を溶接してやるよ」
グラノルスは右手に炎を宿し、腕の大きさ相当の鋭いくちばしっぽいランスを作り、エルヴィラに襲い掛かる。エルヴィラは属性相性が不利なはずの氷属性を巧みに使い、攻撃を受け流したり華麗に回避していく。
私も間髪入れずに攻撃に転じ、風魔法の砲弾を撃ち込む。こちらの攻撃を察知したグラノルスは炎属性の攻撃魔法を迎え討ち、攻撃魔法同士の衝突で爆発を引き起こした。爆煙からエルヴィラが私の方に戻り、その煙が晴れ、グラノルスがこちらを睨んでいた。