第103話 魔法の構造
「気を付けて、マリア! 悔しいけど、あいつは相当上手いよ!」
「うん。今の出来事でなんかそんな感じした。炎属性に水属性が効かないってことは、多分あいつの魔法の技術が影響したんだよね」
グラノルスは再び小魔法を発動し、多数の炎属性魔法で攻撃を開始した。私とエルヴィラは移動しながらそれぞれの得意魔法を駆使し、攻撃を防いでいく。今度は水属性の防御魔法を用いて完全に防衛に徹する。
「まだ勉強としては出てきてないんだけど、魔力制御とかの技術がめちゃくちゃ影響してるんだよね! その技術に差があると、さっきのように属性的な相性が良くてもかき消されちゃう! 逆に、技術的に拮抗したり上回ったりすると、私の氷属性のように相性が悪くてもさっきのように防げちゃうんだよね! 多分あいつはわざと私の魔法で消えるように制御したんだと思うけど!」
「なるほどね。何となく直感で何を言ってるのかは分かるよ。それをあいつは技術として取り入れてるってわけだね」
「そうそう! あいつの一族は特に優秀な講師を雇って訓練してるから、むかつくけどやっぱり戦闘の実力はかなり上だと思う!」
「それなら今の私じゃ太刀打ち出来ないか」
「ううん、そうとも限らないよ! 技術という質で勝負してくるなら、こっちは量で圧倒すればいいんだよ! 単雲に魔力をたくさん込めたり、消せないほどにたくさんの攻撃魔法を撃つとか!」
エルヴィラの講義は一旦終わりを告げる。グラノルスの攻撃魔法は激しさを増し、会話をする余裕すらも無くすほどの苛烈さを見せた。私とエルヴィラは戦闘に集中し、対峙する。