第102話 技術の差
アーネストの言葉に怒りに震えるグラノルスは、再び炎属性の中魔法を発動する。出現したのは先ほど私が風属性魔法で消滅させた大型の鳥で、今度は4匹出現させ、アーネストとジークに向けて撃ち出した。翼を広げた姿は私たちの体を完全に覆うほど大きい鳥は鋭い眼光を標的に向ける。そして二人はその炎属性の大型の鳥の攻撃を回避することに集中するしかなくなった。
「これでやっとお前に集中出来るな。アルマリア」
「私にこだわっても何も良いことないと思うけど」
「いや、少なくとも大多数を撃退したお前の実力を測ることは出来る。中学部で純潔でもない奴が、あれほどの芸当をやってのけるのは随分珍しいんだぜ。だから、純潔協会はお前に興味を持っちまったのさ」
「純潔協会?」
「アルマリア! 純潔協会はね。純潔一族が作った組織だよ! そこで街の事や国の事、大事なことを話し合ったりしてるんだ! ベラン王国にいる純潔の全一族たちの代表たちがいるんだよ!」
「つまり、超偉い人たちがいる組織ってことね」
「そうそう! でも、協会が興味を持つなんて、なんか嫌な感じするよ。絶対なにか企んでる!」
「協会つっても、デカい組織だからな。色んな派閥があんだよ。だから別に俺はお前を殺すとかは考えてねえのさ。ただ、従わせる。力で無理やりにでも純潔協会の望むことをさせる。それが嫌なら、アーネストが言ったように、足掻いて見ろ!」
グラノルスはそう言い、手始めの挨拶のように小魔法を発動する。小型の鳥の群れが突進してきた。私は水属性魔法の弾を発動し、その鳥たちに打ち込んだ。しかし、相性が良いはずの水属性の弾は鳥たちによって弾かれ、蒸発して消えてしまった。その鳥たちはエルヴィラの氷属性の礫によってすべて消滅させられた。
単純ではない、圧倒的な技術の差を、思い知った。