第101話 岩炎の攻防
飛び交う炎の鳥、うねる炎の獅子に地面から付きあがる岩の槍柱。氷塊は風に誘われ速度を上げて飛来する。
グラノルスとの戦闘は激しいものだった。彼の発動する炎属性の攻撃魔法は質が高く、魔法同士の衝突だけではかき消せない。せいぜい軌道をずらしたり、防御魔法で直接防ぐしかない状況だった。
クラスメイト達はすでに散り散りになって逃げていた。イヴリン、オズマンド、メーヴィスの3人はエルヴィラから先生たちを呼んでくるミッションを託され遂行中とのことだ。なので、今の目標は、先生たちが来るまで耐えきること。しかし、事態が動いてから十数分は経つが、先生たちも誰も来る気配がなかった。
「グラノルス。お前、従者の生徒を使って妨害してるだろ」
最前衛のアーネストが地属性の槍で突撃しながら、彼に話しかける。
「だったらどうした? お前が気にしても意味ないぞ」
「何故、そこまでの準備をしてまで暴れる? お前も流石にこの行為は純潔評価を直接落とす原因となるのは目に見えているはずだ。他の強い意志が影響してるだろ」
「……格下のお前には何も言うことはない」
「そうか。やっぱり、純潔協会の意志があるんだろ。強気なシルウェリウス一族が焦って何か実行するときは、決まって純潔協会が関わってるって、姉さんが言ってた」
「は! 糞キモイシスコン野郎が一丁前に推理してんじゃねえよ!」
アーネストの言葉に激昂したグラノルスは巨大な炎属性のダチョウを数匹出現させる。高速で破壊力を持つ攻撃魔法はアーネストを襲うが、巧みに地属性の岩壁を使って防ぎ、槍柱を突き上げ消滅させる。
「僕も短期間だが成長してるんだ。そろそろ舐めるのはやめてもらおうか」
アーネストは語気を強く、グラノルスに言い放ったのだった。