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1、山風 -ヤマカゼ-

初★連載です

目標は3話程度、短くまとめるつもりなので

気軽に読んでみてください!

"空"が満ち足りていると感じた朝、

それは空から降りてきた。


まるで見えない階段を一段一段降りてくるかのよう、

彼女はゆったりと、そしていっぱいに空気を吸った。


すぅっと心地よく鼻孔を突く湿り気を帯びた朝の空気は、

きっと幾分彼女の寝覚めをよくしたことだろう。


天使のような彼女が降り立ったのは、何百年と地を見張ってきた大木の根本。

彼女はそれに向ってすっと手を挙げた。



「よう! 久しぶりだな、元気にしてるか?」



大木は答えない。

少なくともその想像するに太く重圧だろう声は聞こえなかった。

それでも彼女は満足そうに笑みを浮かべると、その場を離れた。


彼女は鼻歌を歌う。

聞きなれぬ、賛美歌のようなメロディ。

しばらくすると開けた丘からこじんまりとした

朝の静けさ凍みる街に出て、鼻歌をふと止めた。


かすかに湿る一段上がったアスファルトの上、小さな喫茶店。

彼女はその軒先に座った。やはりこじんまりとした店だった。

隣にあった植木鉢から延びるピンク色の小さな花をつまみながら、彼女は鼻歌を再開する。


しばらくすると、ぽつりぽつりと人が現れた。

学生服を着た者、暗い色のスーツを着た者さまざまだったが、

一番多いのはエプロンを身につけた女たちだった。


彼女の前を通り過ぎる人間は、横目でちらと見てきたり、

あからさまに不思議そうな顔をした。だが彼女は気にもとめなかった。


時間にして2時間後、だいぶ人気が増え、空気の湿り気も消えてきた頃に店のカギが開いた。

やはりこじんまりとした中年の女だった。



「まあ…」



女は驚いたような顔を見せた。

年齢は中年と老女の間くらいだっただろうか。



「どなた? 何かご用ですか?」



見た目の割に丁寧な口調の女は言った。

天使のような彼女は笑う。



「いえ、朝方雨が降っていたので、ちょっと雨宿りさせてもらって」



彼女の天使のような笑みを受けて、女も和らいだ笑みを自然と浮かべる。



「あら、そうでしたの。今朝は寒かったでしょう。

 お店を空けるにはまだ早いんだけど、何か飲みます?」



「それはうれしい。コーヒーはいただけて?」



彼女の白しか知らぬような微笑みは、どんな人間にも善意を感じさせ、刺激する。

どんな人間にも、人間ならばだれでも。

裏を返して、人間にしか作用しないとも言えるのだが。

彼女が誰か…予想してみてください(笑

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