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3人?え、4人ですよね?

冒険者ギルド、ギルドマスターの執務室。

そこに入った途端に襲撃してきた人をダイナミックに転ばせた後。


「……さて、これはどういう事でしょうか?」


執務机の椅子に座っている人物へ問いかける。

彼は興味深そうに僕を見つつ、好戦的な笑みを浮かべていた。

その後ろには戦士っぽい大柄の男性が腕を組んで鋭い目つきを向けてきている。


「いやはや見事だ。代官殿の手紙通り、大した実力のようだな。」


満面の笑みで拍手をしながら立ち上がり、近づいてくる男性。

体の線は細いが、決して鍛えていないというわけではない。

ただ立ち上がって歩くというだけだが、身のこなしは軽やかであった。

おそらくこの人がギルドマスターだろう。


「言いたい事は多々あるだろうが、まずは謝らせてくれ。いきなり試すような真似をして悪かったよ。」


「はぁ、それは別に構いませんが……何だったんです?」


「君が代官殿の言う通りの実力者なのかを、測らせてもらいたかったのだよ。」


代官殿ってのは、クラインさんの事だよね?


「クラインさんが何か…?」


「む、君はあの手紙に何が書いてあるのか知らないのかね?」


「ただの推薦状だと思っていましたが。」


「あぁ、なるほど。そうだったのか。それは悪いことをしたな。」


ギルドマスターはバツの悪そうな顔をした。




「代官殿の手紙には、君がワイバーンを単独討伐した事と、戦力レベル8相当の実力者である事が記載されていた。」


戦力レベルとは、冒険者ギルドでランクとは別にその冒険者個人の戦闘力を表す指標である。

戦力レベル8は、そのレベルの冒険者が5人揃えば王級の魔物を討伐する事ができるというレベルである。

このレベルになると、冒険者ギルド全体で見ても0.02%ほどしかいない。


「ギルドとしては実力のある人間を低位に置く益はない。だが冒険者登録したばかりの者を高位の戦力レベルに認定するのは難しい。生半可な人間を身内贔屓で認定してもし失敗した時、ギルドは多大なる責任を負わねばならないからだ。」


「つまり、クラインさんの手紙が本当であれば高位の戦闘レベルで登録する必要があるけど、そうでない場合のリスクが高いから、こうしてテストをした、という事ですか。」


「その通りだ。そしてテストの結果、確かに君にはそれなりの実力がある事がわかった。それも、戦闘力だけではなく、索敵能力も高いようだ。」


「わかるんですか?」


「扉の前で躊躇していただろう。扉の先に不届き者がいる事がわかっていたのではないかな?」


「えぇ、その通りです。」


「つまり、君はこの部屋に入る前に、室内に3()()の人物がいるという事を把握していたわけだ。」




「え?いや、4人ですよね。あ、屋根裏だから室内の人数には入らないって事ですか?」


首を傾げてそう言った途端、まるで変わらなかったギルドマスターの顔が凍り付いた。

その後ろに控えていた戦士っぽい人も目を剥いていた。

僕の後ろで襲撃者さんが息を飲むのが聞こえた。

あ、いつの間にか起きてたんだね。


「……まさか、()に気が付いたのかね?」


信じられないようなものを見る目で見てくるギルドマスター。

……彼?


「屋根裏にいる人なら、部屋に入る前にわかってましたよ。気配がかなり希薄だったので、隠れるのが上手いんだなーって思ってましたけど。」



「見事だ。」


シュタッという感じで落ちてきた忍者っぽい男性。

感情の籠らない瞳で僕を見ていた。


「某もまだまだ未熟だな。こうも簡単に看破されるとは。」


「いや、彼が特殊なだけだ。まさか君に気付くとは思ってもみなかった。」


ギルドマスターはしげしげと僕を見ながら忍者さんをフォローした。


「君を襲ったそこの彼は隠密系統のスキルを持っているが、この男はそれ以上の隠密のプロだ。大陸広しといえど、本気で隠れた彼を見つけられる人間は数えられる程しかいないだろう。」


それを見つけちゃったから驚いているのか。

納得。




「おい、もう良いだろギルマスよ。そいつが雑魚でない事は十分わかったんだ。早くやらせろよ。」


奥に控えていた戦士さんが痺れを切らしたようにそう言った。

ギラギラとした瞳で睨んでいる。


「……ふむ、こうなっては仕方あるまい。彼の実力を把握する為には、君くらいの者と戦わせるのが手っ取り早いからな。」


ギルドマスターは溜息をついて僕を見た。


「カネニシ君、だったね?彼はうちのギルドで最高位の冒険者だ。戦力レベルは9、ギルドランクはA。正真正銘、トップクラスの冒険者だよ。」


「グリーブってんだ。めんどくせぇ話は後にして、戦おうぜ!おめぇ、強いんだろ?」


戦士さん改めグリーブさんは、好戦的な笑みを満面にしてそう言った。

探知(R)はそこまで強力なスキルというわけではありません。

しかし秋人の場合は昇華された身体強化スキルのお陰で、周辺の物音や呼吸音等をドン引きするくらい察知する事ができます。

しかもスキルの制御で聞きたくない音などはオートカットします。

ご都合主義バンザイ

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