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日常生活を過ごしている上で、青春とは? と思う。  作者: 歌蝶封揭
恋愛という名の腐れ縁
2/3

03~04:ただ逃げ続けて、それで何を得るのだろうか。

03

 咲いたと思った桜は、気がつけば枯れていた。

 枯れていないのだろうけど、枯れていたのだろう。

 毎日通う通学路。

 俺は、自分はそんなどことなく寂しい道を通っていた。

 時刻、8時5分。

 ここから45分程度かかる学校なのだから、普通なら大遅刻。しかし今のご時世、この時刻は遅刻ではないのである。

 そう――時差登校である。

 すっかり慣れたこの時間帯の登校。今となってはもう前に戻りたくない。

 なぜか、それはまあさっせるだろう。察せない? 察せ。とにかく説明が面倒だ。

 まあ流行ってる某ウイルスのため、と言っておこうか。


「ふぅ……」


 さて、なんであんな夢を見たのだろうか。御蔭で目覚めが悪い。

 恋というものはこれ程に邪魔だ。他のことを考えていたはずなのに、いつの間にか彼女のことを考えている。


「6番線、ドアが閉まります。ご注意下さい」


 しかし残念なことに、とても残念なことにそうしていると心地が良いのだ。だから何回も考えてしまう。そして気がついたら、駅。もうすっかり見慣れてしまった駅。

 ああ、一年生の時。どれ程の希望を抱いてここに来たのだろうか。この駅が、どこまで素晴らしく見えたか。

 今となっては映像のように、それは形容することしか出来ない。

 それにしては、空いている。

 気持ちがいいくらいに空いている。

 ――取り敢えず、1号車に移動しよう。

 そこは学校の最寄り駅の、西口に近い。


4


「おお、よ。霜鳥」


 1号車にいたのは、自分の友人のみゅくだった。


「あ、おはよう。みゅく」


 座ろうと思っていたが、彼は立っている。ここは立つのが礼儀というものだろう。

 俺はそう思い、手すりにつかまる。

 何を話そうか……色々なことを考えるが、そこでまた昨日の……今日の夢が頭を過ぎる。


 あーもう、何でだよ。


 確かに地味に初めて彼女が夢に出た。

 確かに幸せだった。

 だから何だ?

 答えは何も返ってこないまま、時は過ぎる。


「そういえばさ~」


 流石に顔には出なかったらしい。みゅくが話し始める。

 その事に集中しようとすると、自然と今日の夢を忘れることが出来た。

 なぜ忘れようとしたか、それは自分でも分からない。

 多分、終わらせたいこのもどかしさから、退避したかったのでは無いかと思う。

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