01~02:少年の腐れ縁は、一つ恋愛である。
15年2月上旬
01
意識を取り戻すとそこは、自分のベッドだった。
「ねぇ……さ」
隣にはなぜか彼女が座っている。
でもそれが、不思議と俺は思わない。
「好きって、言ってみて」
「え……何で??」
「いいから……言ってみて」
彼女の押しに負けて、一言俺は呟く。
「好き……」
「へ~、そうだったんだ~~」
「いや、えっと!!」
まあ本当は、本当に好きなんだけど……そんなこと言える訳がない。
だが、何か妙に達成感を覚える。
振られるか実るか、もうこれ以上先延ばしは嫌だ。そのような潜在意識、否潜在していない潜在意識が働いたんだろうと思う。
なら、いっそ本当だと打ち明けようか。
そう言葉を発しようとした瞬間、彼女は一言呟いた。
「私も、好きだよ」
……。
耳を疑った。
どういうことか、分からない。
俺は注文してないはずだ。あくまで彼女の要求に乗っただけ……。彼女が返してくるなんてことは、ない。
ひょっとして、自分の思った通りでいいのだろうか。
本当の「好き」を彼女は言っていると、信じて良いのだろうか。
「あの……それはどういう?」
「好き、付き合ってってこと」
……俺は幸せ者だ。こんなに可愛い彼女をもてる日が来るなんて……。
なら答えは、一つしか無い。
その瞬間夢の世界は、終わりを告げた。
02
初めて見た夢だった。
彼女の夢。彼女に告白される夢。
なんて幸せな夢だったのだろう。起き上がった今でも、鮮明に覚えている。
だが、それが夢であることが分かったと同時に、何とも言えない感情がこみ上げる。
早くこの感情とおさらばしたい。安定した愛情を与えられる相手を持ちたい。片思いでないと安心できる人を持ちたい。
それは、彼女でもなくていい。小説の参考になれば。人生の参考になれば、誰でも。
出来れば……彼女がいい。だが彼女とはもう話す機会は少ないだろう。
そう思うとやはりこれから始まる青春時代――何も満喫できず、片思いで終わってしまうかもしれない。誰が片思いを桃色と表現したのだろう。片思いは悪夢、真っ黒だ。
表現した人はお先真っ暗という言葉を聞いたことがなかったのだろうか。それとも幸せ者なのか。そんなことは分からない。
だが一つ言えることは、この腐れ縁を終わらせたいということだ。
やはり自分が昔占ったタロットは、合っていた。占い師は本人を占っていけないというが、それは違った未来を伝えてしまうというわけではないらしい。
そう、あの時出たのは……
DEATHの逆位置――腐れ縁だ。