白い部屋で2
一人称 俺 (独り言や思考中)
一人称 私 (会話時)
「どうやって入ったのかよりも前に、まずここは何処なんでしょうか?」
「え、ここが何処かも知らないの?」
「はい」
「「………………………」」
暫しの沈黙が流れた。
「ここは白の迷宮最深部よ」
「白の迷宮?」
俺はそんなダンジョンあったか?と、思い出そうとしたが心当たりがなかった。
「まさか、本当に知らないの? 嘘でしょ?」
「嘘と言われましても、私には何のことだかさっぱりで…」
「え、いや、だって、ほら、あなた初期装備じゃない?それに、ここ最難関と言われてるものの一つだし、何かの縛りプレイとか……」
女は、俺をみて「初期装備」とか訳の分からないことを言っている、装備に初期など決まっているのだろうか。挙げ句の果てには縛りプレイだと?俺にそんな趣味はない。とにかく、ダンジョンであるならば早く外に出なければ魔物に襲われかねない。
「すいません、じっとしてると魔物に襲われかねませんので、どうか出口を教えていただけるでしょうか」
「は?魔物?いやいや、そんなのでないから、ここは探索の迷宮の一つで時間や現在位置が把握できないことから最難関と言われてるのであって、敵は出てこないんだけど…」
魔物が出ない!?そんなダンジョンあるわけがない。
探索のみの依頼であろうが、採取のみの依頼だろうがどんな依頼でもダンジョンでの依頼を受ける際は魔物を警戒するのが常識だ、信託すらない俺でも知っている。そのため、戦闘能力のない農民、商人、子供はダンジョンに入ることは出来なくなっている。
「私は、とりあえず出口だけは把握してるから、連れて言ってあげようか?」
そういうと、俺の手を取って…あれ?
「手、手が…」
俺は、研究中に生涯消えることなど無いような大火傷を右手の甲にしていたのだが、今の俺の手にはその傷があるどころか、とても綺麗で繊細な手になっていた。
「どうしたの?」
女は俺を覗き込むように体をかがめて尋ねて来た。
かがめて?俺の身長は180はあったはずだ…。
俺は、慌てて自分の顔や体をぺたぺた触って確認して見た。あの戦場にいた俺は男だったはずだ、だがここにいるのは…
「ねぇ、大丈夫?あ、もしかして今更初期装備の格好がどんなのだったか思い出して恥ずかしくなっちゃった?流石に女同士でもその格好で外に出るのは周りの目があるから、いただけないと思うし、服、貸してあげようか?」
俺が来ていたのは、白いワンピース一枚だった。
っというよりも、
俺、女になってる!?
おかしなところなど、ありましたら
指摘お願いいたします。