白い部屋で1
「ここはどこだろう」
あの時、私は世界級と言われる魔法に巻き込まれたはずなのだ。私がいた世界では大陸という大陸を所有者無しに静かにしておくような事を許さない世界だった。そのおかげで、私は毎日のように戦場に駆り出されていた。
「なにが「貴殿が戦場に行く事など今後10年はない」だよ。毎日が戦場にある駐屯地での研究だったじゃねえか、更には「大陸は我々のものである事を示してこい」だと?約束とからっきし違うときた、だいたい研究室をくれると言っていたのに最後まで寄越しもしなかったじゃねえか。まぁ、どうせ使わなかったろうが…」
私はただの魔法研究家だ。と言っても、研究家以前にまだ見習いで、師匠が戦場で亡くなってしまったから俺が王城に召還されていたのである。
俺は10歳になった時、王都の神殿で「神々の恵愛」という儀式を受け、能力や職業を得るはずだった。しかし、神殿で神官が渡してきた「神々の信託」という一枚の紙は白紙だった。他の村ではそういう子供は捨てられるのが普通だが、俺は捨てられることはなかった。そのため、俺はいつか使えるかもしれないと魔法の知識だけを勉強し続けていた。
俺が15になった年のこと、村が突如として逃亡兵の一団に襲われたのである。その事件から少し経って逃亡兵の一団を追う、ある国の騎士団一行が村を訪れた。その時に俺は逃亡兵達が使っていた魔法の内容と弱点や効果範囲などの詳細情報を独学で学んだ知識や知恵を振り絞って騎士団に伝えたのである。その後、騎士団は教えてもらった情報のおかげで逃亡兵の一団の魔法を一切喰らうことなく、捕縛することが出来たらしく、村に再度訪れた騎士団は俺に感謝の意を示し、村を復興するための人員を置いていってくれたのである。丁度その頃、近くの森に調査に来ていた後の俺の師匠は、俺の独学で学んだ魔法の知識の量と「神々の信託」が白紙であることに興味を示していたみたいで、師匠は俺を王都に連れて行ってくれた。師匠は偉大な魔法師様であったようで、師匠が亡くなった後、王様直々の命令により俺は国家魔導師大隊に入隊させられたのだ。最初は入隊出来たことで、自分の実力が認められたのだと喜んでいたが、それは最初だけであった。
俺は周りを見渡す。
目に飛び込んでくるのは「白」「白」「白」
どこを見ても白の壁しか目に入ってこない。
「とりあえず、ここはどこか歩き回って見るか」
俺は、壁をペタペタ触ったり、床をドンドンと足で強く踏んで見たりしていたが突然、
「ゴゴゴゴ…」
という音と共に目の前の白い壁が左右に開き、女が一人現れたのである。俺が驚いていると、女は俺の眼前まで全速力で走って来たかとおもうと、一言質問を飛ばして来た。
「君は!?ここへはどうやって入ったの!?」と。