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6.名前の由来。

コトコトコト...

お湯が沸いたようだ。

伯父がドラゴンティーを注ぐと

華やかな良い香りが広がった。

その間も精霊は俺をじっと観察している。


「初めまして。えっと、俺はー」

「レオナルド。わたしはウェザー」


俺の挨拶を遮るように精霊が口を開いた。


「ウェザーはクラス名だから好きに呼べばいい」

「あなたはレオでいい?」


伯父との会話で名前が出ていたからだろう。

積極的なのかせっかちな性格なのか...


「もちろん、レオでも構わないよ」

「とりあえず君の名前は考えておくよ」


名前か...どうしよう。

クラス名のままで呼ぶ人もいるけど

他の冒険者のと被って紛らわしいから

名前は付ける人が多い。


「僕もね、名前は随分ダメ出しされてさぁ」

伯父がティーカップと焼菓子をテーブルに運ぶ。


「フィオのこと?」

「そうフィオの時はさぁー」


フィオ。伯父と住んでる女神級の精霊だが

冒険者ではない伯父は身の回りの世話をさせている。


気に入らない名前だとダメ出しするのは

拘りの強い女神属性にありがちだが

フィオはとても素直で聞き分けのいい子だ。


「黒髪ぱっつん女神ちゃんって付けたら却下でさぁ」


...それは却下されるだろうよ。

見た目まんまだけどダメだろうが。


「それからそれからさぁ、」


伯父のセンスなき痛い名前候補を

ウェザーは不安そうな表情で聞いていた。


コンコンコン...

「マスター・フェルナンド、いらっしゃいますか?」


噂をすればフィオがやって来た。

「いらっしゃいフィオ。入って!」


こくりと頷く。

ウェザーは少し警戒しているのか

目を合わさずにいた。


「レオナルド、触媒は足りましたか?」

「あれはフィオの手作りなの?」


少し嬉しそうに頷く。


「あんなに大量に作るの大変じゃなかった?」

「お菓子...作るのはとても好きです...」


微笑む彼女に見惚れてしまうのは

女神属性のせいだろうか...


「ウォッホン...ンンッ」

伯父のワザとらしい咳払いに我に帰る。


「あ、彼女ウェザーですね。良かったですね」


フィオがウェザーの方を向く。

精霊同士では互いの属性が判るのか

彼女を一目見てウェザーだと言い当てた。

自分の話に移り少し緊張している様子。


「ウェザーってすごいんですよ?」


フィオの解説によれば

普通は空間から水や炎などを呼び出すのだが

ウェザーはその名の通り気象を操る。

雨を降らせれてその雨水を操ったり

雷雲を作り雷撃をそこから落とすのだという。


場所や気象条件など多少はあるが

自然を操るため魔力の消費は空間系よりも少なく

大きなダメージを与える事が出来るそうだ。


「そんなに凄いんだ...」


俺が感心していると

彼女は苦手な甘いものを少しばかりかじった。

フィオはそれを見てまた微笑んでいた。


フィオレットは異国の言葉で“小さな花”を意味する。

伯父はいつも最終的に良い名前を思いつくが

むしろそれまでがワザとなのではないかと思う。

きっと照れ隠しのつもりだろう。

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