48.火に油を注いではならない。
感謝祭終了まであと一日。
伯父はちゃんと仕事しているだろうか...
バンッ!「レオナルド元気かっ!」
いつもの休日のように当然の如く登場したが
フィオの監視をすり抜けてサボりに来たに違いない。
「....それで、仕事は終わったの?」
「もう少しってところだ。息抜きも必要じゃん?」
ほらね。
息抜きという名の逃避行。
自分で安請け合いしたのが悪いのに
本当いい加減なやつだ。
「それよりコレを見れくれ。格好いいだろう」
家の前に何やら変わった乗り物が横付けされていた。
ピカピカしていて新車のようだが車輪も無いし
先が尖っているからどちらかと言えば小型の船か。
「それが車でも船でもないんだなぁ〜」
伯父が勿体ぶって話す。
俺にこれを自慢したかったのだろう。
いい大人が子供のようだ。
「ふふっ...レオナルドは知らないようだねぇ」
「週末開催のフェスティバルガチャの存在をっ!」
(..........なにぃ!?)
忙し過ぎて感謝祭の詳細をみていなかったが
今年は感謝祭に合わせて特別なガチャ
その名も“フェスティバルガチャ”があるらしい。
なにそれ行きたい。
というのも、感謝祭会場のみで引けるらしく
朝から屋敷を抜け出していたらしい。
「凄いぞ〜!三種類もあってさぁ」
「まあ、全部回してきたけれどねぇ〜ハハッ!」
(この金持ちめ...羨ましいじゃないかっ)
俺だって有り余るコインがあれば回すさ。
当たりが出るまで石を投げるよ。
「これは魔力で地面から浮いて走るんだ」
「ウィザーライドって名前らしい」
三種類って言っていたが、内容は
“飛行タイプガチャ”
あらゆる“飛ぶ系”の当たり確率が上昇。
乗り物から、魔獣、妖精、アイテムなど様々。
“レアドラゴンガチャ”
その名の通り、かなりレアなドラゴンが当たる。
“人気アイテム限定ガチャ”
アイテム以外の当たりは出ないけれど
賢者の石とかが出れば大きい。
どれも“当たれば”の話である。
確率は高くなっているがドラゴンなんてまず出ない。
普通に回すよりは夢があっていいけど。
「さあレオナルド、勿論行くだろ?」
今から行こうと誘われたがフィオを思うと悪い。
あんなに行きたがっていたのに抜け駆けは出来ない。
ここはグッと堪える。
「マスター!やっぱりここですかっ」
「ん.....これはウィザーライドでしょうか?」
フィオが連れ戻しにやって来た。
昔の本でこの乗り物を見た事があるようで
伯父を叱ると思いきやマジマジと眺めて嬉しそう。
「凄いです...このフォルムも洗練されています」
「だろ?サボった甲斐があるってもんだろ?」
余計な一言で怒らせた。
“では試し運転をさせてもらいますね”
“これはかなりのスピードが出そうですよ”
そう言って伯父を乗せると
恐ろしいスピードで屋敷へと走り去って行った。
くわばらくわばら...
さて、良い情報を手に入れたから
どんな状況かまずはログをチェックする。
みんなガチャの当たりを載せていたり
“そう、当たりなんて存在しなかった...”といった
悲痛な名言を残す人もいた。
イベントは各地の感謝祭でやっているようだが
やはり激レアなドラゴンの確率は0.01%程らしい。
そもそもの個体数があるし
よほどの勇者でなければ直接捕まえるのは難しい。
それに従わせるのはもっと困難だ。
だからこのガチャは確率が低くても狙い目。
色々見ていると迷ってしまうけれど
俺はドラゴンのと飛行タイプに的を絞った。
飛べたら何処へだって行けるし
ウィザーライドも格好良かったから欲しい。
だから今日は色々と研究して
明日フィオ達と行くときにガチャを回そうと思う。
俺が端末を独占していたから
カレンは途中から飽きてしまった様子。
いつものように“ポッケ”からピッピィを取り出すと
“仲間が増えるかもねー”
なんて縁起でもない事を言っていた。




