4.無欲の勝利とはよく言う。
“Grand Challenge System Assign”
「レア来いっ!」
光の中が少しだけ銀色に光った。
何かしらのレアか?
ブォン...フォンフォン...ブワン
“大きなリボン”
女子の人気装飾系装備 “大きなリボン”
「これどうすれば...」
「精霊でもいれば喜んだろうにね~残念」
女神級精霊に合ったレアアイテムが出たのは
期間限定物のガチャではよくある傾向の一つだ。
「マザーにでもプレゼントしたら?ふふっ」
母さんにあげるにはちょっと
いや結構痛々しい感じで無理があるな。
そもそも譲渡は禁止なのだから
後でアイテム屋にでも返却しに行こう。
さあ次だっと...ん!?
振り上げた手からサクッと石を奪われた。
「ガチャジンクス。他人にお願いすると出る」
伯父がそれををポイっと陣の中へ放り投げるが
“Grand Challenge System Assign”
ブウォン...
そう、ちゃんとアサインする。
他人が代わりに回すことは可能なのだ。
「おいっ、ちょっとなに勝手なー」
「大丈夫だよ、ほら」
きらきら黄金の光が渦を巻く。
“ハイチユー”
レアっていうのは間違いないが。
超高回復薬など今の俺には使う機会がない。
(コノヤロウ.....)
「女神関係なかったね、ふふぅ」
「・・・・・・」
コインに変えても石二つ分にしかならない。
赤字じゃないか...
この後伯父は中レア召喚獣、傷薬を引いた。
残るは俺の最後の分だ。
先ほどの二の舞にならぬよう、伯父を警戒する。
「しないよぉー嫌われたくないもの」
(嫌われたくないじゃなくて)
(嫌われてるんですよっ!)
深く息を吸って目を閉じた後
スッと軽く召喚陣の前に手をかざした。
“Grand Challenge System Assign”
これは俺のジンクスだ。
なかなか来ない時は落ち着いてみる。
無理につかもうとしない。空気のごとく。
「ほほう...無欲の勝利戦法か」
伯父の面白がる声が聞こえるが
俺はいらつかない。
そう、完全なる“無”になるのだ。
シュウォンーシュィン…ザンッ
「………ん?」
何かが違う。
思わず俺は薄目を開けた。
石の回転も明らかに普段より長い。
キュイーン…シュパーンッ!!
部屋の壁一面に青白い光が反射する。
その光は中央に集まり
目が焼けるような光量で俺達の視界を奪った。