31.酒は飲んでも飲まれるな。
「俺達のレオナルドー!未来の勇者〜!!」
いや、俺が倒したというか...なんというか...
昨日は伯父の屋敷に泊まって
今日は午後にケニーの所へ謝りに行った。
仕事は明後日からでいいから
今夜の飲み会には必ず来るようにと言われた。
.....そして今こんな状況だ。
俺達のバグの件は少し話題になっていたようで
伯父が地元紙の取材に対して適当に話を盛ったために
更にややこしい事になっていた。
一連の出来事を包み隠さず説明したものの.....
職場の同僚だけでなく他のお客さんまで
一緒になって俺のことを持ち上げる。
「でもお前がトドメを刺したんだろ?」
「すげぇじゃねえか!さすが俺が鍛えただけあ...」
ケニーがウィッドの話を遮り、グラスを持って立ち上がる。
「はい、じゃあもう一回乾杯するよ〜!」
「俺達のレオナルドー!未来の勇者〜!!」ガシャーン
その後何度もこれを聞かされた。
(.....みんな結構酔っ払ってきたな)
明日はケニーの店が定休日であることもあり
次々と酒が運ばれて来た。
カレンは相変わらずお肉を頬張って満足気だ。
酔ったウィッドが調子に乗って大声で煽る。
「運営なんざクソっくらえだろ!」「そうだそうだー!」
「俺が今から乗り込んでメタメタにしてだなあ、そんでー」
「やっちまえー!」「詫び石よこせ〜!!」
パンパンッ!
「はいはい。ウチは面倒起こしたら即クビだからね?」
ケニーの一言で一気に盛り下がる男衆。
そもそも運営が何処にいるかなんて誰も知らない。
「ちぇっ。ケニーだって連絡が来たときゃ今から運営にー」
ゴンッ....「つぅぁ...」
そこまで言うと、ケニーがテーブルの下から脛を蹴った。
口は災いの元とはこのような事をいう。
その後よく分からない余興が始まった。
広げられた横断幕にはこう書かれている。
“第1回レオナルド生還記念ガチャ大会”
「うおぉぉぉぉぉぉぁぁぁ!!!!!」
(なんなんだ、この盛り上がり様は)
(しかも第1回って...)
簡単に言えばみんなでガチャして盛り上がりたいだけで
俺が帰ってきた事とは何も関係がない。
なんだか雑に扱われている気がするのは気のせいだろうか...
先陣を切って配送担当のクレイが召喚陣に石を投げる。
ブヲン....シュルシュルシュルン...
“チェーンメイル”
迷惑に繋がっていく噂話の類ではない。
ただの鎖でできた鎧である。
「なんだよお前っ!ウケ狙いかよ!」
一同ドッと盛り上がるが、俺は飲んでいないからか
イマイチ笑いのツボがわからない。
「おいおいレオナルド〜!ノリが悪りぃじゃねえか〜」
「次引けよぉ〜つぎぃ〜!」
「残念ながら俺はパスで。昨日の今日で石がないからね」
それを聞いてウィッド達は残念そうな顔をしたが
すぐにターゲットはケニーへと移った。
「俺たちのボスだからな?勿論大当りだろうよ!」
「ウォォォォー!!」「イイぞケニーやれー!!!」
絶対に煽るだけ煽って笑い飛ばすつもりだろう。
それでも果敢に挑戦を受けるケニー。
“Grand Challenge System Assign”
ブウォン...シュワン...キィーン...シャァーン...
(何だ!?赤い光なんて見た事がないぞ?)
ヴゥ...ヴゥオウヴゥアーゴォォォッッッ!!!!!
こ...これ、俺知ってる。
かなりレアで人気のある魔獣 “ヴィノナライガー”
人が3人乗っても大丈夫なほどの大きさで性格は従順。
シュルシュルシュル.....
カレンの時と同じ様にレベル1サイズまで縮んで
なんだか大型犬の様な可愛い見た目に変わった。
ライガーの頭をポンポンと撫でながら
ケニーは“どうだ”とばかりにニヤリと笑う。
結果は最終的にケニーの独り勝ちとなり
ボスの威厳を見せつけられたところで
今日の宴はお開きとなった。
ウゥ....わんわんわん!わん!




