3.触媒を捧げてみる。
時計の針が13時を指す。
配布の時間だ。
召喚陣の前に手をかざすと
空間から石が現れる。
光の中で浮いている石を一つずつ回収する。
全部で3回分の配布があった。
石はそれ自体にも価値がある。
お金を借りる時の担保にもなるし
売ってもそこそこの値段になる。
召喚したものの強回復とかに使ったりもするが
使い方としてそれはちょっと勿体無いかも。
何はともあれ今の使い道はこっちだ。
「さぁ、始めようかー」
と、振り上げた召喚の腕がグッと掴まれた。
召喚の光が解かれる。
「せっかちだなぁ~。一緒にガチャろうぜ?」
「勝手に入んなよっ!」
来る前に済まそうと思ったが相手が上手か。
見越したようにやって来た。
「まあまあ、良いもの持ってきたんだから」
「いいからすわって。お茶入れるね」
(いや、俺の家なわけだが...)
「でさ、これ持ってきたんだ」
箱いっぱいにシュークリームやらプリンやら
色々甘いものが詰まっていた。
「あとお花も。綺麗でしょ?」
「これは一体...」
「君とね、甘い物でも食べながら語らいたくって」
「お引き取り下さい」
腹を抱えて笑っている。
正直帰ってほしい。
「ヒィヒィ...ゲホッ、違うよ流石にフハハ」
面白い要素がわからないが
来たのは召喚に関してだろう。
「ゴメン!解ってるだろうけど、召喚に使うの」
「でしょうね」
「今のトレンド知ってる?」
「さあね」
面倒なのでつれない返事で返す。
長くなりそうだ...
「精霊の好物は大体甘い物」
「お菓子とか花の蜜を好む子もいるだろう?」
「はぁ...」
「だからこれを召喚時に触媒にするのさ!」
触媒ねぇ...この手の類いのジンクスは多々あり
情報誌まで売られている。
真偽についてはこの前の召喚の通りだ。
「これで女神級も間違い無しっ!」
何度騙されたことか。
疑いの眼差しで睨む。
「怖いよー、とりあえずやってみる?」
半ば強引にジンクス召喚する事になった。
「よしっ。そっちは準備できたかね?」
召喚陣を取り囲むように“触媒”を並べる。
「さあ、僕が試しに引いてみるよっ」
「そうれっと」
光の中に輝く槍が現れた。
間違いなくレアだ。
「そこそこ良かったよね。女神関係ないけども」
クイっと槍を掴み取る。
綺麗な細かい装飾が施されていた。
「まあ中レアってとこかな」
「中レアの武器すら来ない俺には羨まし過ぎる...」
「いや、ポッケこそ上レアだよ」
「入れる物ないうちはただの袋だけどさ」
軽く落ち込む。
そんなことは慰めにもならないのだが...
「さあ、レオナルドもやってごらん」
確かに良い流れが来ているのかもしれない。
俺は期待を込めて今日一回目のガチャを回した。