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異世界生活記  作者: テトラ・ポッド
二度目の異世界
6/7

第一異世界人

あけましておめでとうございます

あー、空が見える。

何故に空。

異世界の空だ。月が二つ見える。

混乱だ、こんらんしてる。分かる?今の状況がどんなんなのか。

あー、スタート地点に戻ったとか?昔、そんなろーるぷれいんぐげーむがあったようなきがシマス、って、ゲームじゃねーっての。あれか。セーブポイントに行ってから死ねば、そこからスタートとか?

でも宿屋がセーブポイントで、死に戻りがそこからとかありえない。突然、見も知らない人間が部屋から出てくる。シュールだね。もし宿泊客がいれば?即、牢屋送りは必至、だね。

はなしがそれました。

はは。


最後の記憶は空から落ちてるところだ。滞空時間は、10秒以上。まだ地面までは遠かった。1キロ以上あったんじゃね?

片手になったゴブリン、死んだよね?一緒に死に戻ったりしてないよな?


二度目だ、立ち直りも早い。

何となくだが見覚えのあるような地形だ。だけど、木が大きいような気がする。自分が小さくなったとか?死に戻りの度に若返るとか、小さくなるとか、ないよね?

自分が小さくなった説はなしだ。確かに木が大きい。成長してる。近くを散策すると鳥の巣モドキも名残があった。木の股のところに石が山積みになってたんだ。自然にそんなこと起きないよね。

十メートルくらいのところに作ったつもりだったが、更に五メートルは上か。だとしたら5年かその倍か、前の異世界から。

同じ異世界。でも年月が経っている。よし、そのつもりで行動しよう。

でも、そんなのどうでもよい。何ともかかわりなかったからな。


と、いうわけで、今後の行動方針を決める。

食事、水は前回の知識があるおかげで、速攻確保できた。ここは前回のまんまだ。

不思議な石はなくしてしまったが、使い方はわからないので関係なし。

服も着てる。

衣食住。後は住むところか。

ここに住むのは詰みだな。また、ゴブリンとやりあってもなあ。拠点があって、ここではやりあうだけなら問題ないが、拠点で向かい打つのは問題だ。

どうするか。

今なら、体力に余裕がある。

短期間なら食糧は確保できそうだ。保存食は無理だが。

どうするか。

この辺りはダメだ。ゴブリンのテリトリと思う。離れた場所、森の奥か、崖の下。様子が少しでもわかるのは崖の下。森が広がる。少し離れたところには草むらがあり、岩場があり、川が流れる。離れたところには湖らしきものも見える。決定的なところでは、遥か遠くだがほんのりと光っていたなにか。めっちゃ興味があります。

よし、目的地は崖の下だ。


問題は崖。

たぶん、一キロ以上ある崖。

まあ、ずっと垂直ってわけでもないけど。コンスタントに七十度以上あるんじゃない?たぶんオーバーハングもありそう。もちろん俺にそんなところを降りる技術はない。だけど、以前はない体力が武器だ。それしかないけど、今はそれにかけて先に進みたい。

たぶん降りてる間は食事にありつけない。その分食べて、長期戦に備える。

そして、一応植物由来のロープ代わりとなるものも用意すできる。

とし、すぐに準備開始だ。


もちろんそうしてる間にも、ゴブリンは現れた。さすがに初日は様子見したが、パターンはつかめた。前のときのようなへまはしない。なんとなく以前より密になってる気がする。気のせいだろうか。

結構頻繁に俺がホブゴブリンと名付けた大物のゴブリンが混ざってる。

怖い怖い。


そんな感じで一週間ほどで準備が完了した。

崖の下に向かう。

崖にはところどころに木が生えている。それを利用する。ロープの真ん中あたりを枝にかけたらす。両方をつかみ足場を確保できたら片方をつかんで引っ張ると、手元にフリーになったロープが手に入る。それを繰り返す。

木が途切れたらおしまいだが、技術のない俺が崖を降りるにはそっちの方が良いかと思う。思ったけど。自信はないな。実際どうなんだろ?



下に降りるまで二日かかった。

まだ降りきってないけど、トラブル発生中だ。

真下は所々に木が生えた原っぱなんだけど、人が見える。それも女の人を担いでる。

あー、なんの為なんだろ。

見たらほっとけないじゃないですか。実力もないのに、甘ちゃんだなと思うけど、ほっとけないしなあ。どうするか。

すんごいむき出しの状態でガン見してますが、こっちには気が付いていない様。まあ、当たり前か、こんなところに人がいるとは思ってないよね。結構、むき出しの位置から見てるけど、こっちには気づいていない。

でも、初めての初異世界人との出会いがこれとは、あまり運がない。いや、これも定番か?


「ちょっと、おろしなさい!」

「走りづらいから、暴れないでください。それと少し黙ってて。」


なんか言い争っている声が聞こえる。離れているのに、結構な大声だよね?

後ろの方、左手側を見ると、遅れて3人が走って来てる。その後ろには、ゴブリン達がいっぱい。


「走れぇ。崖を背にするんだぁ。」


右手を見ると崖がくぼみになってるところがある。そこで応戦するようだ。少数対多数だから囲まれないように対応するつもりだろう。

でけどゴブリン相手だ。そんなに神経質になることないだろうに。何となくだけど訓練された兵士っぽいし、武器も持ってる。

まあ、あの女の子を護衛しながら戦うには4人はつらいよな。回り込まれたらどうにもできないし、あの娘も無理やり前に出ちゃいそうだし。


そんなことを考えるてると、更に音が聞こえてくる。

3人組だ。スリーマンセルっていうやつかな?もう一組あっても良いかと思うけど、どっかいっちゃったのかな?なにかよからぬことでも起きたとか、むむむ。

あの娘が護衛対象で、担いで走っていたのが隊長で、後は護衛のスリーマンセルっていう感じかな。最初からこの構成とは思えないけど。


遠くで戦いながらこっちに近づいてきてる。

どうやら相手は一体だけのようだが、なんかおかしい。

見てると違和感の正体に気づいた。ずいぶんでかい相手のようだ。そして片手だ。手には身長程の棍棒のようなものを持って振り回している。

あいつはあれだ。俺が落としたホブゴブリン。色もどす黒くなってるし、大きいが間違いない。俺が見たのはついこの間のことだ、間違いない。違和感ありありだけど。


三人組はホブゴブリンに追いつかれてその対応をしている。実力的には少し三人組が押されているよう。

その三人組は先行組みに追いつきたいようだが、ホブゴブリンから逃れられないようだ。

そうしてる間に、多数の、二十匹はいるゴブリンは先行組を相手にしてる。こっちはゴブリンは格下。まともに立ち合えばあっという間に殲滅できるほどの相手。ゴブリンは、うまいことやられないように逃げ回ってる。肩に担がれた娘さんが狙われてるせいだ。

三人組が二組あればホブゴブリンが殺せるだろう。だけどそれができない。ひょっとして、ホブゴブリンがそういう状況を作り出してる?まじっすか。

更に後ろを見ると、木々の間から追加でゴブリンが湧いてきてる。

まずいな。


考えろ。

異世界で初めて会った人間が、ゴブリンに殺されそうになっている。

ゴブリンに、あまり恨みはないけど、どうせなら人間を相手にしたい。ゴブリンと仲良くなる未来があっても、今、その選択肢は選べない。


ならどうするか。

今、俺は崖の上にいる。

ゴブリン達は真下あたりだ。

周りには石がいっぱい。

結論は、簡単だ。


石を投げる。小さなものから、徐々に大きなものを投げる。

最初は届かなかったけど、慣れた。無理をすれば頭くらいの大きさまで投げられたけど、自分も落ちそうになってやめた。こぶし大の大きさを数で攻めた方が良かった。

面白いようにゴブリン達にあたる。

それをきっかけに先行三人組が盛り返す。あっという間にゴブリン達を殲滅する。


こっちを見て何かを話してるようだが、後続の三人組の手助けを優先することにしたようだ。

その間に後続三人組のうち一人がやられたようだ。二人で対応してるがあまり持ちそうにない。

ホブゴブリンが先行組の様子に気づいた様だ。逃げの体制。後続のゴブリンが近い。

先行三人組が合流した。五人組となった彼らにゴブリン達が倒されていく。ホブゴブリンはゴブリンを盾に林の中に逃げていった。


俺は崖の下を目指し、降りる。

下には肩に担がれた娘と担いだ男、それとゴブリン達と戦った男たちがいる。

ホブゴブリンにやられた男は怪我で済んだらしい。仲間に肩を貸してもらってけがの手当てをしてる。そのままキャンプの準備中だ。

ここで気づいた。俺、一言しか話せないんだよな。どうしよ。


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