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異世界生活記  作者: テトラ・ポッド
二度目の異世界
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幕間 ~王女の想い~

気が付いたら、周りからちやほやされる存在だった。

それでもそれを指摘してくれる人がいて、納得はできることだったので、気をつけることにした。

でも、それはとても難しいことだった。


私には支配のスキルがある。

それもレベルが上がれば一人、十人、百人と増えていく。


今の私のレベルは1。過去、レベル5となった者もいる。通常は4だ。そしてそのレベルになった者だけが、この国の王となる。


先代の王は78歳と高齢で、病に倒れ、人前に出ることはない。

だが、支配のスキルは絶対で、その支配下にある者達は裏切ることはなく、それ故に強い。

過去、幾度となく有力貴族の裏切りがあったけど、その手が国を覆すことはなかった。

支配する相手から漏れるような人物は基本能力が低く、仲間を増やすことができなし、増やしても仲たがいして自滅が多い。足の引っ張り合いになることが目に見えるような者が多い、と聞く。

仮に優秀な仲間をある程度増やしたとしても、味方となる者は千人だ。なかなか覆ることはない。

千人ちょうどを支配に置くこともしない。相手の首謀者クラスを何人か支配すれば反乱は終了する。簡単なことだ。

なので、この支配者のスキルは重要だ。


だが、ここにきて危機的状況となった。

現王は高齢で病床の身だ。

時期、王の候補は十にも満たない子供。いや、子供かどうかは意味がない。王国にとって良いか悪いか。スキルがあるか。それさえ満足すれば三歳児でも問題はない。考える頭や実行する者は周りにいるのだから。


どうやら私は合格らしい。殺されずにスキルを伸ばす努力を強いられてるのがその証拠だ。

貴族と違い、作法も、統治に必要な能力も必要ない。話を理解できる頭があればよい。利用されない程度の会話能力があればよい。


一時期はそれで拗ねた。

我儘も言った。

そんな時、家庭教師となった彼がいた。

穏やかで、私の我儘にも誠実に付き合ってくれた。

おかげで我儘もなくなり、その代わりに彼の想いにこたえようとしてる自分がいた。

そんな私を彼は苦笑いしながら、教えてくれた。


「もっと我儘におなり。

 君はやさしいお方なので、それくらいがちょどよい。」


聞いたときはわかった気になったが、今はわからない。それでよいと思う。彼の生きた時間は、私のそれとは違う。経験も違う。いつかわかる時もくるだろう。


違うことも教えてもらった。


「王の候補はこれまでもいたんだよ。現王の跡継ぎ候補は君が三人目だ。」


なんの話をしていて、そんな話になったか、経緯は忘れてしまったが、ひどく疲れた顔をしたときにそんなことを漏らした。

恐ろしくてその日は寝付けなかった。

貴重な支配のスキルを持ったものだったに違いない。

そんな者たちを殺す?

王国の基礎をなす者たちぞ。

いったい何があったのか。何を基準にそんな選択がなされたのか。わからない。


支配のスキルを使って支配下に置かれたものは、支配主が死ぬと使え物にならなくなる。

どのレベルの時に殺されたのか。

一人?

十人?

限られた支配能力。なので、それなりに優秀な者を支配下に置いたに違いない。少なくとも私だったらそうする。

私はまだ誰も支配にはおいていない。鑑定スキルによって発見されたからだ。なので、他人を支配できることは知識としてわかってはいても、実感が湧かない。

王城に入る者たちの半数は支配スキルの影響下にあるが、見た目は普通で、違いは判らない。

ただ、現王が亡くなれば、その影響は計り知れない。次代の者たちが必要になる。


拗ねてる場合じゃない。


たぶん、現在の王城で働いてる者たちで支配スキル下にあるものは高齢の者たちだ。若者はみなスキルのことも知らない。

突然訪れるその瞬間。

世間一般では幼いといわれる私に何を課すのか。

その訪れる瞬間までにスキルを上げないといけない。

スキルの影響で使い物にならなくなる者達を、再びスキルを使って、ある意味正気に戻す必要がある。

ただ、スキル下おける数はその者が死んでも変わらない。高齢の者をスキルで救っても、高齢故にその先は短い。自分の統治に影響がでる。だれを救って、誰を見放すか。選択しなくてはならない。


何故、それを私に選択させるのか。

拒否権はない。

目の前は真っ暗だ。

だが今は進むしかない。


スキルはこの世の魔獣と呼ばれる存在を殺せば得ることができる。

より強いものを殺せばそれだけ、スキルを集め、高みに登ることが可能という。

今はそれを行うのみ。


最近、片腕のゴブリンと呼ばれる魔獣が辺境で暴れていると噂になっている。

いくつかの開発村も襲われて、全滅したとも聞く。

その魔獣を狩ればいち早く私の願いはかなうかもしれない。

いずれは倒さねばならぬ相手。

私の糧になってもらおうか。


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