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異世界生活記  作者: テトラ・ポッド
はじめての異世界
4/7

戦闘のつづき

自分の住処に戻る。俺の場合、鳥の巣モドキ。

ゴブリンの偵察タイミングから考えると、夕方までは偵察は来ない。なので、その間に水を飲み、食糧を確保する。水は保存する手段は確保してなかったため、どうするか迷うが、特に何もできない。

果実を採り、大人しく過ごすことにした。でもどのくらいこもればよいだろうか。


日が落ちるよりだいぶ前に、木に登る。

トイレも済ませた。一応遠くに。

だが見回りがいない。

まさか、仲間がやられたことにビビッて、こっち方面には来ないようになったとか?

こんなことならやれることがいっぱいあったのに。もっと食糧の確保するとか、罠を増やすとか、拠点を増やすとか、移すとか。あー、逃げればよかったかも。でも、どこに?


どうしようか迷っていると大柄なゴブリンが来た。

へたに行動しなくてよかった。

昔からそうだった。我慢しきれずに動き出すと裏目に出る。今回はラッキーだったが、次もあるとは思えない。とりあえず、現状は事前に考えたことがベスト、初心を貫き通そう。


大柄なゴブリン。前の小さいやつをゴブリンって名付けたので、これはホブゴブリンってことだな。

さっきから何やってるのか。ゴブリン達の野営跡を嗅ぎまわってる。文字通り、地面に鼻を擦り付けてる。こっちを見ると顔の回りが真っ黒で笑える。

俺も風呂に入ってないから、同じだ。更に臭い。えっと、匂いでばれるかな?

それに、排泄物。遠くにしてるつもりだが、徹底してなかったからたまに近くでしたりもしてた。

そんなことを考えてると、近づいてきてた。真下に来た時はドキドキした。


状況考察。

こっちに来てすぐに鳥の巣モドキにこもって動かなかったのは良いこと。おかげで最近の匂いがあまりつてないはず。

あちこちに排泄物を巻き散らかしたのは、証拠をばらまいて、居場所を特定できなくて結果よし。

こんなにラッキーが続いて良いものか。ポジティブシンキングが大事。じゃないとストレスで倒れそうだ。

継続させたい。


今後のこと。

逃げるか。

どこに?崖の下か。

まだ見ぬ方向が良いか。

ここに居るのはダメだろ。食糧が尽きる。

タイミングはいつか?

早い方がよい、と思う。

でも、今すぐは無理だ。今はホブゴブリン対策。

逃げるのは恒久対策。暫定対策はあくまでゴブリン対策。よし、曲げない。


暫定対策の具体化。

排泄物は崖の下。近くに崖に飛び出てる大きめの木がある。枝が多く隠れることも可能と思われる。でも、音が問題か。途中で小便を止めることはできない。

食糧確保も大問題だ。果実の確保がぎりぎり。ウサギは狩れない。調理ができないから。生で食べる?最後の手段にしたいな。

水もだ。保存できない。飲みに行くしかない。タイミングが難しい。


考えた結果として、短期間しかこの状態は続けられない。2~3日か。ホブゴブリンがあきらめるまで待てば、その後の移動ができないほど体力が落ちると思われる。

食糧さえ食べられれば、この異常な体力がつづくけど、さすがに腹が減れば無理。


逃げる先か。崖の下か、まだ見ぬ、林の奥地。ホブゴブリンが来た方向とは逆に逃げる。ゴブリン偵察隊は、いつもここを通過地点にしてる。横方向はゴブリンの活動範囲と考えられる。奥地もたまにゴブリン隊がたまに向かう。やはり崖の下か。

どうやっておりるか。ロープはない。代わりの物もない。

でも少しだけ強くなった握力や腕力、大幅に向上した体力。これ、素手で降りられるんじゃない?見た感じ数百メートルだろう。数キロもないよね?きっと。

でも、行く前に食糧は確保したい。持ってはいけないから、腹いっぱい食べたい。無理かな?無理であれば、急いだほうがよいかも。


善は急げ。降りる。

ホブゴブリンと目が合う。せめて、周りを見渡してから行動すればよかった。最近反省したばかりじゃなかったか。


追いかけっこが始まる。勝てる気がしないから。

ホブゴブリンと名付けた相手は、身長2メートルはある。俺とほぼ同じ。体の厚みは相手の方が断然厚い。正面から殴り合えば、いや、殴り合いにもならない気がする。俺とゴブリンの戦いを思い出す。身長差と体重差はいかんともしがたい。その上、相手は武器にも精通してそうだ。

鍛冶ができるのか、金属製の武器を携えてる。

でもグキャグキャしか言わない?鳴かない?言葉もないのに技術を持ってるっておかしくない?


走る。

とにかく走る。


「ばかやろー」


「こんちくしょう」


この世界でまともに話せる最初の言葉になった。違和感もなく話せるぜ。ははは。

走る速さは同じくらい。そこはランクアップしなかったみたいだ。助かった。


どうするか。走り続けるわけにはいかない。

体力もランクアップしてない?分けないよね。だとしても試すわけにはいかない。やっつけるしかないかな?

罠を活用する。木の上の大量の枝や石だ。

そのためには登らないといけない。下から落とすための仕組みは作ってない。なんて先見性のない俺。悲しい。

そういえばターザンロープがあった。練習で使ったやつで、斜めの木の傍にある。それを利用すれば、勢いで上まで登れるかも。


練習するわけにもいかない。走りながらイメージトレーニングしつつ、ちょうどよい角度で近づくという軌跡を起こす。自分でもビックリだ。その上、成功した。さらに驚き。

下を見ると、口を開けてこっちを見てる。馬鹿面だ。ああ、普通、上から石を落とされるなんて考えてないよな。落としてやろう。

クリティカルヒットだ。

ターザンロープを使って、下に降りる。

止めを刺す。

武器をゲットだ。

二度、三度と振ってみる。なんか強くなった気がする。ためしに木に切りつける。弾かれた。手が痛い。

どうも刃が真っすぐに当たっていないからみたいだ。木にぶつかるたびに握った剣がクルクルと回りそうになる。ゆっくり振るうと回った感じもしないし、痛くない。でもそれじゃ意味がない。指程の太さの枝も切れないから。


役立たずだ。


武器は手に入れたが、戦う手段はない。

やっぱり逃げよう。

さっき反省したばかりだし、決めた計画は通り実行しよう。

水を飲み、果実を食べる。

後は、崖を降りるだけ。


崖に向かう。

そこにはホブゴブリンが三匹いた。タイミングが悪い。なぜこのタイミングなんだ。あと少し待ってくれたら。

仕方がない。とりあえず木に登る。今はターザンロープと、石と枝しかない。幸い距離があるため、木に登る余裕はある。

近づいてきたので、石を投げる。当たったが、それだけだ。

距離を取り始めた。その上、ホブゴブリンも木に登り始めた。


「おい」


思わず突っ込みを入れる。気持ち悪くならない。思わず感動。

何をするつもりか。

木の枝が密集してるところに拠点を選んだのがまずかった。一匹が枝伝いに木の上を近づいてくる。

残り二匹が地面を掛けてくる。

俺より応用力あるな。ちくしょう。


だが、俺にはまだ、ターザンロープがある。

あれ?この木から垂れ下がってるツタだった。その上、先っちょはここにあるのはいいんだけど、たるんでるし。これ、持って降りたら、地面に一直線だよね。

えっと、どうすれば良いのか。あせる。

そうしてる間にもホブゴブリンは近づいて来る。


ひらめきました。たるんでないところを持てば地面には落ちない。

そこまで来た。

思わず、ターザンロープ代わりのツタを手に飛び出す。

当然のごとく弧を描き、元の場所に戻ってくる。物理の法則が憎い。


ビックリした顔のホブゴブリンが最接近する。

飛び出した高さよりも若干低い。おかげで、ツタがホブゴブリンにぶつかり、そいつは枝から落ちる。

俺も落ちる。が、ツタを握ってたので、地面に衝突は避けられた。

ホブゴブリンはそのまま落下したが、動けるようだ。丈夫だな。


地面を掛けてきた二匹が近い。

かかったな。ホブゴブリンから奪った剣を寝ながら横になぐ。

俺に切りつけようとしてたホブゴブリンが立ち止まってたため、足首にあたる。ほとんど裸に近いので直接刃が当たる。だが少し切り裂いただけだ。力が載らない格好だし、だけど、それを差し引いてもひどいのがわかる。たぶん相手にも分かったんじゃないかな、こっちの技量がないのが。


一匹は木から落ちて怪我。二匹は足に刀傷。でも、こっちが圧倒的に不利。

足元に落ちてる石を拾い、投げつける。当たった。

ついでに剣を振り回す。石が当たってない方のホブゴブリンに刃が当たる。お、腕が飛んだ。まぐれ当たりだ。

走り出した途端、逆サイドに刃がかすめる。木から落ちた奴だ。危ないなあ。

でも三匹とも怪我をしてる。全速で走れないはずだ。さっきの状態で同じ速度。今なら逃げ切れるかも


そう思った時もありました。

めっちゃ早い。ちょっとアドバンテージがあったはずなのに、距離があったはずなのに、今は近づいてきてる。

目が血走ってる。怒ってる?よね。特に腕を切り落とされた奴。そんなに走ったら、血が全部抜けちゃうよ。おとなしくしようよ。


崖に向かって走る。

飛び出て生えてる木からツタがぶら下がってる。

ここは賭けだ。ぶら下がってるツタを利用してターザンロープだ。ぐるっと戻ってくればよい。その勢いを利用すれば、一匹くらいやっつけられるかも。


崖に向かって飛び出す。

真後ろまで接近してた片腕ホブゴブリンが勢い余って落ちてゆく。さよならー

一匹仕留める。

あれ?なんかツタの感触が変なんですけど。

結局、落下。

あっれー?

10秒以上の浮遊感。

途中で気を失いました。



つぎはどうしたらよいものか・・・

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