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Singalio Rou' Sel' fier-Autrue ch Rutuc  作者: 篠崎彩人
Last Week「破壊の記憶・後編」

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28/30

The Last Ray of the "Moonlight"

 どれくらい じかんはたったのだろう

 わたしは ただしいばしょに たどりついたのだろうか

 このばで どれだけのあいだ まちつづければ すくわれるのか

 むしろ すくわれない わたしがいることで だれかがすくわれる

 それを まっているのだろうか


 からだに ふりかかる あめは

 いまは もう ゆきになっている

 いや ゆきのような なにかべつのものかもしれない

 ぽたぽたと おおつぶのなみだをながす

 おおぜいの すくわれなかった ぎせいしゃなのかもしれない


 あしがこわれて このすなちで たおれているじぶん

 このおとこの そんざいりゆうは ここで おわるのだろうか

 これで いいのだろうか

 わたしは かのじょのえがおに ほほえまれる そんざいに

 なれているのだろうか


 わたしは じぶんのために わらってあげたかった

 わたしは じぶんのために ないてあげたかった

 しかし もう かおの うごかしかたも わからない

 めの ひらきかたも わからない


 じぶんが なんのために ここにいるのかも わからない


 だんだん ゆきのなみだに からだをおおわれ うまっていくのをかんじる

 あたたかくて とてもきもちいい

 このきもちよさのために ここまできたのだろうか

 そのために いままでのくるしみが あった?

 そのために かのじょのかなしみが あった?

 こたえはないけれど

 これはきっと あのひのかのじょの あたたかさのようなものなのだろう

 ここまできてやっと わたしはかのじょのあたたかさに ふれることができたのだ


 できることなら かのじょにも このあたたかさをかんじさせてあげたかった

 だが もうだきしめるためのうでも

 あいをつげるためのくちびるも

 なにより かのじょのすがたそのものが もう どこにもない

 わたしがめざしたあおぞらに かのじょのすがたは なかったのだ


…私たちを解き放ってくれてありがとう…

…私たちの願いは貴方の願い…

…だから…

…私たちの中に凍結している全ての時間を…

…貴方の願いに捧げます…

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