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Singalio Rou' Sel' fier-Autrue ch Rutuc  作者: 篠崎彩人
第二週「人を見た天使」

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11/30

第四曜「不自由落下、その後」

 ボクはボクが天使に属する存在である実感を持たないのと同程度に自分の翼らしき白い枯木のオブジェの様な無数の骨の羽根からなる歪で明らかにそれのなろうとした正常の形からどんどん遠ざかろうかと言う勢いで変形肥大を繰返す洞窟の鍾乳洞を無作為に切り出した形状とも逆にこれ自体がオリジナルでありその他これに近似するあらゆる物理固定の定則に従って固形である物を下に位置させる存在である所の物、即ち概念を飛び出して来たエロスそのものであるかの様なこの二対の物体としての重さよりそれらが司る所の人の業の甚大さを質量換算した時にこれに相応しい重さが有るのであろう双生児が自分の愛子で有るとは考えない、それは父の知れない子の母の不徳と言ったモラルの系列では無い、ノンモラルだ、ボクは勿論母じゃない、父と言う訳でもないがどちらかと言えばそちらの方に関連性の種子は多く転がっているはずだ、母の知れない子の父は有り得ない、つまり父と言う概念は母が有って初めて成り立つ、生物学上母子に対する矮小な付属品に過ぎない、ボクは異様に正常な物として成立している白夜という母とそこに散ばる無数の恥骨達が共存し納得し合っているのを必死な薄笑いで傍観する哀れな父、というより他人だ、そこには自主的介入への欲求も意志も無い、ただ強制が存在するだけで自分の判断がこの世界とこの世界を取巻く因果に色を加える事は無い、だが、ボクは一つだけ知っていた、これらの骨の子にしても、この母の下に産まれて来たくて産まれた訳ではない、という事だ。多分これも自由意志では無くと言うよりこの感情を抱く事こそがボクのこの世界における最大唯一の存在意義、それで無くては自動的に死のスイッチが押されてしまう、さながら銃殺の恐怖に怯えながら強姦を甘受する不運な娘の様だが、何度も言う様にボクは母より父側なのだ、母になる心的身体的因子を持った不運な娘では無い、むしろ銃殺の恐怖に怯えさせる事をしていた男が自分でこの娘を射殺した時に射精するのかそれとも射精と同時に射殺してしまうのかそもそも射精したかったのか射殺したかったのか分らなくなって分らなくなっている内に射精してしまい射精以外の事がどうでも良くなってしまったその一瞬を突かれて娘に銃を奪われその銃口が何時の間にか自分に向いていた時のその男の心境、嗚呼、俺は射精して射精以外の事がどうでも良くなったその一瞬に自分が抱いていた女に殺してもらいたかったんだな、という事に気付いた安堵と驚きでか細い微笑を浮かべか細い悲鳴を上げる時のその男の満足感、寂寥感、死への使命感で一杯になりふいに涙が出その涙を拭うのとその女の頬を撫でるのとで両の手が別々に動き出した瞬間に自分の世界が何処かへ行ってしまう、そんな子と言う存在を越え父と言う役割を獲得するのに失敗した敗者、それに近いのだろう、ボクは多分人として父である事が出来なかったのだ、だからこの世界で骨の子と共に自らの存在を父親の位まで高めていく必要を感じるのだろう。

 白夜が揺れている。ボクの骨の翼が揺らめいて、母親もそれに合わせて優しげに揺れている、ボクは、微動だに出来なかった。何故なら、ボクが揺れると、骨の羽根達が痛そうに軋んだ。子は、母に同調を、父に反抗をする存在である。それでいいのだと思う。

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