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漫才脚本シリーズ

漫才脚本「運動会」

作者: 山田結貴

A……ボケ担当。B……ツッコミ担当。

コンビ名は考えていないので☓☓としました。

   A・B、ステージに上がる。 


A「どうも~☓☓です!」


B「よろしくお願いしま~す!」


   A・B、観客に向かって軽く頭を下げる。


A「B君。子供の頃って、色々楽しいことがありましたよね」


B「そうですねえ」


A「特に楽しかったのが、そう。運動会」


B「いいですねえ。赤組と白組に分かれて、色々な種目で競うのが楽しかったですよね」


A「まずは、校長先生のご挨拶」


B「ありましたねえ」


A「(校長先生になりきって)皆さん、おはようございます」


B「はい、おはようございます」


A「今日は、運動会に実にふさわしい空模様です」


B「(天を仰ぎながら)そうですねえ」


A「先程から、私の顔にピチャピチャと雫が」


B「雨、降ってますね! どこが運動会にふさわしいんですか!」


A「ははは。ゲリラ豪雨でなかっただけ、非常にふさわしいではないですか」


B「比較対象、絶対おかしいじゃないですか!」


A「お次は、選手宣誓」


B「(気を取り直して)ああ、それもありますねえ」


A「(生徒になりきって)宣誓! 我々は、スポーツマンシップにのっとり……」


B「はいはい」


A「(目を光らせて)どんな手を使ってでも、勝とうと思います」


B「えっ。それちょっ……どういう意味?」


   B、激しくうろたえる。


A「さて、そろそろ競技に……」


B「え、スルー? スルーですか?」


A「まず始めは、障害物競争」


B「あ、は、はい」


A「これから子供達には、コースに置かれた数々の障害を乗り越えてもらいたいと思います」


B「はいはい」


A「第一の障害は、跳び箱」


B「あ~。ベタですねえ」


A「ここにある二から六、飛んで八段と積まれた」


B「待って待って待って! A君、お前今何て言った?」


A「え、だから二から六。飛んで八段」


B「どんな状況? それ。え? 手をつくとこない上に、アンバランスじゃねえ?」


A「B君。障害というものは、不安定だからこそ障害として立ちはだかるものなのですよ」


B「もっともらしいことを言って、ごまかしても駄目ですからね!」


A「第二の障害は、アメ食い」


B「ああ~。顔が粉だらけになる奴だ」


A「さっ。皆さん空の方向いてあーんして! 口がいっぱいになるまで前に進んじゃ駄目ですからね!」


B「アメって、そっち⁉ やっぱ天気悪いじゃねえか!」


A「今はゲリラ並に降り注いでますから、チャンスですよ」


B「結局ゲリラになっちゃってんの⁉ 別の日にやれよ、もう!」


A「ん~。じゃあ、第三の障害は雨の日の運動会ってことで」


B「ずいぶん適当ですねえ! 次行きましょう、次!」


A「はいはいはい。では、お次の競技は借りパク競争」


B「借り物競争ね! 何ですか、実に教育上よろしくない感じの……」


A「(Bを無視しながら)子供達には、コースの途中に置かれた紙に書かれた品物を持ってゴールしていただきます」


B「うん、普通。それなら借り物競争じゃ」


A「そして、子供達が持ってきた品物は、この私がいただきます」


B「てめえがパクるのかよ! 最低じゃねえか!」


A「あ、でも、年増のお母様とかはお返ししますんでご安心を」


B「失礼過ぎるわ! 皆さん、バリバリ若々しいですからね」


A「さて、とうとう最後の競技となりました」


B「寂しい気もしますね。やはり最後はアレでしょう」


A「最後の競技は、学級対抗……デスマッチです!」


B「ストップ、ストップ、ストップ! は? 何? デスマッチ? リレーじゃないんですか」


A「ああ、すみません。厳密に言うと、デスマッチリレーです」


B「デスマッチリレー?」


A「そう。バトンを持って、決められたコースを走る。それが通常のリレー。だがしかし! そんなありきたりなものはつまらない!」


B「ありきたりなのがいいんでしょうが」


A「世の中には、足の速い子も遅い子もいる。でも、それが各学級ごとに均等に分けられてクラス編成がなされているとお思いですか?」


   A、目を見開き大げさな立ち振る舞いで弁舌を振るう。


B「急にキャラ変わりましたね、あなた」


A「もし俊足だらけのクラスと、鈍足だらけのクラスなんかがあったりしたらどうします? 勝てっこないでしょ? 他の競技ならともかく、これはもう負け戦確定ですよ!」


B「そこまで言うことないでしょうよ」


A「そこで、リレーの問題点を解決するべく生み出されたのがデスマッチリレー。この競技はなんと、スポーツマンシップにのっとり、相手チームの妨害を許可!」


B「全然スポーツマンシップにのっとってませんよ!」


A「落とし穴を掘るもよし! 野次を飛ばすのもよし! バトンをちょっと生臭くしておくのもよし!」


B「最後の奴、地味に嫌ですねえ」


A「さあ子供達よ! あらゆる手段を駆使し、チームに勝利をもたら……ぶっ!」


   A、顔に何かがぶつかったジェスチャーをする。


A「……誰だ! 私の顔に生卵をぶつけたのは!」


B「校長、攻撃されてんじゃん!」


A「(激昂しながら)おい、貴様らあ! それがスポーツマンのやることかあ!」


B「お前が言える立場かよ!」


A「よく見ろ! 私は玉入れのカゴなどではない!」


B「カゴに生卵なんて入れねえだろうがよ! お前に対する攻撃って認めろよ!」


A「……はっ! そうか、わかったぞ。これは私にとっての障害。つまり、障害物競走はまだ終わってなかったということか!」


B「違う違う違う!」


A「(ニヤリとしながら)俺ちょっと、上手いこと言わなかった?」


B「急に素になるなよ! 馬鹿じゃねえの? お前はよお!」


A「では、これで」


B「やっと結果発表からの閉会式といきますか?」


A「運動会・第一部を終了致します」


B「え? これ第一部なの⁉ さっき最後の競技って!」


A「ちなみに、第五十七部まであるので」


B「誰が第五十七部まで付き合えるかよ!」


A「(天を仰ぎながら)ま、その間にゲリラもどうにかなるかと思われますんで……」


B「まだ降ってたのかよ! もういいよ」


A・B「どうも、ありがとうございました~!」

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