魔法の原点
『[魔法]
君達は言われるまでもなくこの言葉を知っているだろう。
魔法とは古来より不思議な力により人間では不可能なことを可能にする特別な力のことを言う。
例えば手のひらから火の玉を出したり、バケツ一杯の水を凍らせたりとその種類は様々である。
ある者は神の力と呼び、ある者は神の奇跡と呼ぶ。
過去に多くの偉人や無名の人々が魔法を会得しようと数々の試みを果たしたがそれは全て無念の思いで終わっている。
魔法。
この力が自由自在に扱えればどれだけいいだろうか!
もしもこのような力を手に入れれば自分の人生は180°変わることだろう!
ただ勿論これは現代社会に生きる人間達が創りあげた妄想の塊である。
──…‥ことでは無くなったのは記憶に新しい。
「霧原一夜[きりはらまや]」
彼女は現日本の法皇であり、世界を統一している[HEAVEN]の創始者である。
彼女が発見した[秘神凝核分子[ひしんぎょうかくぶんし]、通称[マナ]の名で知られる特殊な分子が発見されたことにより我々人類は不可能とされていた魔法を使うことができるようになった。
その力は強大で、個人差こそあるものの先の説明で紹介した通り火の玉や水を凍らすこと、その他にも多くの神懸かりな現象を発現させることができるようになった。
しかしこれには2つの条件がある。
1つ目はマナを体内に取り入れ、蓄積させること。
魔法を扱うにはマナが必要不可欠であり、魔法を構成するもっとも大切なものである。
※マナについてはP126を参照。
2つ目は自分が使いたい魔法を強くイメージすること。
炎系の魔法を使用する場合は頭の中で火をイメージし、風系の魔法を使用する場合は風をイメージする。
これが出来ない限りは魔法を使用することは不可能になる。
ここまでが[魔法]に関する一般常識であり、初歩の知識である。』
「さて…と、今皆に読んでもらった通り現代では魔法が当たり前のように存在し、実用化されている。ここまではもう知っているな」
魔法‥か。
今やどこの学校のカリキュラムにも必ず組み込まれている[魔法学]。
俺の通っている学校はこの魔法学を学ぶことに特化した学校である。
名を[凰神高等学校[おうしんこうとうがっこう]」という。
俺は魔法というものに強く興味を持ち、中学の頃からの積み重ねもあり念願の凰神学校へと入学することが出来た。
まずはこのクラスで上位の成績を取ることから始めないとな。
「魔法の初歩を今一度確認した上でこの授業はここまでとする。次の授業は体育館だから遅れるなよ」
授業が終わると同時にクラス中が騒がしくなる。
‥仕方のないことだろう。
何せ次は──
「おーーーすっ!!!!琥滝!ようやく待ちにまった実技試験だな!」
この騒がしいのは焔坂炎斗[ほむらざかえいと]中学からの親友だ。
「そうだな。ようやく自分の今の能力が試される時が来た」
魔法は魔法学を学び、それ相応の知識と技術が無ければ一般的に使用することは許されない。
もっとも今や魔法学はどの学校でも必須科目である為魔法が使用できない人間は存在しない。
「く~~!余裕ぶりやがって!お前はいつも成績上位だからいいよな!俺なんて俺なんて……」
こうは言っているが炎斗の成績も決して低いわけじゃない。
俺から3つ下な位だ。
妙な所で格付けしてはいるが、それで炎斗が頑張れるなら何も言わないでおこう。
「それじゃそろそろ体育館に行こうぜ。時間も結構押してきたしよ」
「お!そうだな!それじゃ俺達が一番ノリで…‥!!!」
「お、おい!待……─」
「出発~~!!!!」