迅重達の放浪記 ①
洛陽を抜けた迅重達一行は迅重の勘に従い進路を長沙へとむけていた。
「主の勘を疑う訳ではありませんが、その長沙にはなにかあるのですか?」
「さぁな。 だけどその場所には何かありそうな気がするんだ。」
星の疑問に迅重は曖昧な言葉を持って応える。
「周泰は隠密をしている訳だが長沙について何か知っているか?」
「長沙・・・ですか? 確かあそこは劉表に仕えている武将の黄忠という方が太守をしている所ですね。 民からの信頼もあり他の太守と比べ善政をしている事からとても優秀な方だと思われます。 ですが」
周泰は迅重の疑問に答えて行くが途中言い難そうな表情で
「他の太守・・・劉表の家臣団からは煙たがられている様なのです。」
「私腹を肥やすのにはその黄忠の政策は目の上のたんこぶ・・・と言う訳か。」
周泰の言葉に迅重は納得する。
「・・・よし、仲間に引き入れる為に長沙に急ぐぞ。」
「何故、わざわざ長沙に? そんな状況下で主が行けばそうそうに面倒事に巻き込まれる様な事を」
「面倒事とは俺の場合は付いて回る物と考えている。 有能な人間を上手く引き込めれば呉の戦力向上にもなるし、俺の世界での知識だが・・・この機会を逃せばその黄忠という人物は確実に劉備の陣営に加入するだろうな。」
迅重の言葉に星は
「それは主殿の世界での話なのですか?」
「たぶんだが星達がいる世界と俺の知る三国の歴史は似て非なる物と考えている。 そもそも俺の知っている歴史では名立たる武将は男性として記されているし女尊男卑という風潮も無かった。」
質問された事を迅重は少し考えた後に答える。
「そうなのですか。」
「ま、そういう事はまた今度じっくりと話そう。」
そう言って迅重は馬を蹴って走らせる。
「主、お待ちください!」
「鐵さん!」
「野宿が嫌なんでな・・・今日中に近くの村を見付けて宿を取るぞ。」
2人を置いて行く勢いで迅重は馬を走らせ、そんな迅重に慌ててついて行く二人であった。




