虎牢関の戦い(5)董卓軍VS反董卓連合
「配置の方の変更は俺の所に趙雲を配置。そして華雄の所に鳳統を軍師として配置。他の部隊に関しては特に変更は無し・・。」
「それでどうやって連合軍を相手にして戦うつもりだ?」
「最初に説明した通りに俺は横撃を入れた後、攪乱の為に遊撃に入る。」
「ウチと華雄は突撃で・・」
「恋殿は先発隊として出て相手の士気を削るのです!」
天幕の中に迅重を始めとした董卓軍の主要陣が集まっている中で迅重は変更事項を述べる。そして、それに反応して声を出す。
「よし・・・行くぞ!」
「「「「おぉー!!!!」」」」
迅重の言葉に張遼達は腕を上げて声を高らかに上げる。
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「敵軍虎牢関より出てきました!」
「ようやく全面対決かしら・・。だけど、あの御使いが正面切って突撃するだけの無能なのかしら?出て来た者の牙門旗は・・?」
伝令の言葉に袁紹は顎に手をやり考え、他にいる伝令に問う。
「牙門旗は・・・真紅!?真紅の呂の牙門旗!呂布です!!!」
「此処で飛将軍・・・が出て来る・・。単騎で攻めて来る筈がありませんわ。後続はどうなっていますの?」
「後続は・・・張の牙門旗、華の牙門旗が出てきております!」
「張遼、華雄の両名・・・鐵の牙門旗は?」
「其方の方は未だ確認できておりません。今、此処から確認出来ているのは呂布、張遼、華雄の三名の牙門旗になります。」
「此方を抜けた趙雲が見当たらないのは不審ですが検討しても仕方ありませんわね・・伝令!」
「っは!」
「この事を各方面の諸侯達に早馬にて報告しなさい!そして曹操、孫策、劉備、公孫賛、袁術に動く様にと」
「了解しました!」
袁紹の言葉に伝令達は迅速に動く。
「・・・董卓軍に所属している主要陣達は出払い、地の御使いとその部隊が見当たらない・・彼が動かないなんてありえませんが・・・今はどうしようもありませんが警戒だけは怠らない様にしませんと・・・」
伝令が出た後に天幕にて袁紹はそう独りごちる。
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「さて、やっと私達も出れるわね・・。」
「だからと言って無茶はしないでほしいのだが・・?」
嬉しそうな表情で自軍の天幕の椅子に座りながら言う孫策に対して冷ややかな面持ちの周瑜がそう告げる。
「それは無理な相談よ。あの子・・地の御使いの子は何としても捕まえて私の物にしたいもの・・。」
「まったく、敵ながら同情してしまうな。雪蓮に狙われるなんてな・・。」
「ぶぅー!何よ、それじゃ私が迷惑を掛けているみたいじゃない!」
そして、そんな周瑜の言葉に反対だとばかりにその喜色満面の表情を崩さずに、獲物を狙う獣の瞳で周瑜を見つめ、周瑜はそんな孫策の態度にヤレヤレと溜め息を吐きながら呆れていた。それにはすぐに孫策も反応したが・・・
「おや?自覚が無かったのかしら・・?」
「う・・。分かったわよ。無茶をしない範囲でならいいでしょ?」
周りに迷惑を掛けていると言う自覚のない主に対して周瑜が目が笑っていない表情で笑みを浮かべて孫策に聞くとバツが悪いのか目を逸らしながら無茶をしない事を約束する。
「それなら構わないけど、監視役として祭殿と明命も同行してもらいましょう。」
「祭は分かるけど明命ちゃんまで同行させるなんて・・・ほとほと心配性なんだから」
訝しげな表情で周瑜を見る孫策だが、周瑜の事を信頼している孫策は特に反対する事は無かった。
「それじゃ、袁紹の指示が出るまでは少しお茶にしよう。」
「そうね。少しは息抜きも必要だし、張り詰めていたら息が詰まる物ね?」
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「御主人様、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ。大丈夫だ。」
「しかし、趙雲さんが私達の下から去ってしまうなんて・・・」
「多分だけど、迅重がいるからだと思う。アイツは昔から人を惹きつける一種のカリスマみたいな物を持っていたから趙雲もまたそれを感じて向こうに行っちゃったのかも知れないな・・。」
「そんな・・ご主人様の方が凄いですよ!」
「ありがとう。だけど、朱里・・・迅重は俺なんか比較にならない位に強いんだ。心も体も・・。」
白い帽子を被った栗色の少女が一刀に近付き心配そうな表情で窺うが、あまり顔色が優れないのは見る者が見れば一目瞭然であった。
「そんな方が何故、董卓軍に・・・」
「それは分からない。けど、迅重がそこに留まるって事は向こうが非道をしているって言うのは誤認なんじゃないかな・・?アイツは・・・残虐非道な事、相手を蔑む人間が心底嫌いな奴だから・・・この戦い、何か裏があるのかも知れないな・・。」
一刀の言葉に朱里・・・諸葛亮は考える。
「そうですね・・・あの激励文は誰が出したんでしょうか・・・?」
「俺の知識では確か袁紹だったけど、この世界は平行世界だから誰が出したかは・・・袁紹も誰かに密告されて激励文を出したのかも知れないから何とも言えない・・・。」
「そうですか・・・。」
一刀の言葉に諸葛亮は更に思考し、口を開く。
「ご主人様、次の戦いの時、私の言う物を用意して関羽さん達に持たせてください。」
「あぁ、分かった。朱里の言う通りに準備するよ。」
朱里の言葉に一刀は頷き、兵士に指示を出す。
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「・・・よしよし。いい具合に相手の方は動揺しているな。一部はそうはいかないみたいだけど・・・」
「主よ、何故連合軍が動揺しておるのですか?」
「簡単な事だ。最初の接触時に俺と呂布が斥候として相手に攻撃を仕掛けた際に相手側の武将を足止めし、尚且つ兵士たちの士気を低下させる要因になったからね。で、今しがた出て来たのは呂布、張遼、華雄の三人で俺と連合軍にいた趙雲がいない事に訝しみながらも目の前の名のある将が出てきているが俺達がどの場面で出て来るのか分からないからこそ前線の兵士たちは混乱しているって訳だ。目に見えないだけでも最初に与えた衝撃は頭の中に残るって事。」
したり顔で虎牢関より少し離れた小高い丘の上で呟く迅重の傍には姜維、趙雲。そして鐵隊が騎兵隊の編成にて後方に待機している。
「なるほど・・・。だからこそ隊長は最初に出ると仰っておられたのですね・・。」
「そう言う事。でも、まさか趙雲が此方の陣営に加わるなんて微塵にも思わなかったから面白い誤算だったかな・・?」
「そうなのですか?」
「そうさ。そして、趙雲が来てくれたからこそこの作戦も成功率が上がる。騎乗経験のある武将と言うのはそれだけで価値がある。そして、今回の編成も出来るわけだ。」
「わたしと星に部隊を半分づつ分けて隊長は単騎で動くと言う物ですか・・・。些か危険かと・・」
「成功率を少しでも上げる為だ。藍と星の二人は騎乗経験豊富だからこそ騎兵隊を任せる。俺は単騎駆けをして敵を錯乱して戦場を掻き回す。その際にお前達二人の隊で横撃を仕掛けてくれ。」
迅重の言葉に星と藍の二人は短く返事をする。
ここに戦端は開かれた。この世に生きる者達が求める威信を、名声を、武勲を掛けて勇み叫ぶ者達とそれを見てほくそ笑む者、裏から動く者・・・この戦場に様々な思惑が蠢くとも変わらぬ運命がある。それを覆そうと必死に動く者もいる。世界は・・・運命は・・・どちらの勢力に・・・軍に・・・天と地の御使いの・・・どちらに動くのか・・・。
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魏一票
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