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迅重、連合軍に潜入するとのこと



 「鐵様、騎兵隊の装備の点検完了です。」


 「馬も万全です!」


 「・・・準備は万全。後は籠城戦で華雄が暴走しなければいけるな。」


 詠達が軍議を開いている中、迅重は自身に与えられた部隊・・黒龍隊の最終調整をしていた。


 「それにしても鐵様の所の装備は凄いですね。剣はおろか矢も防ぐ鎧があるなんて・・」


 「(そりゃ、中世の時代の鎧だからな・・・。しかし、その製法が記された書物があるとか・・・何でもありなのかここは?)お前達は装備の入念な検査が終わったら命令があるまで待機。俺は少し用を思い出した。」


 「用・・ですか?」


 「・・・まさかとは思いますが連合の偵察とかでは無いですよね?」


 「・・・・・・」


 「本気ですか!?」


 「賈駆には副隊長のお前に任せる!」


 「ちょっ!隊長~!逃げたよこの野郎!?あぁ賈駆様になんて言えばいいんだよ!?帰って来たら一発殴ってやる!!!!」


 迅重がその場から目にも止まらぬ速さで城を抜ける様を呆気にとられた副隊長は地団太を踏みながら頭を掻いていた。この副隊長は後々、迅重の行動に頭を悩ませる事になるが今は彼の胃と頭髪が心配である・・。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――


 「・・・さて、牙の情報だと天幕はこの辺りだが、ここの兵士の金ぴか度合が凄いな。無駄な装飾だが目立つ事に関しては一番かもな。」


 城から抜け出した迅重は連合軍の後方に位置する袁紹達が駐屯している天幕の近くでそう呟いていると他の天幕よりも一回りも二回りも大きな天幕を見付け、出入り口付近に金ぴか装備の兵士二人に黒髪をポニーテールにした少女とおでこが広いという特徴的な印象の女性が立っていた。


 「(ん~、兵士は問題ないけどあの2人は・・・忍び込むのは無理そうかな・・・あ、アレが行けるかも・・)【陽炎】」


 天幕の陰に隠れながら分析していた迅重だが、四神の一柱【朱雀】能力の一つである炎を応用して周囲と自分との温度差を発生させて姿をくらます事にした。


 「これでいけるな・・。いざ!」


 「・・・ん?」


 「どうしたのだ、夏候惇殿?」


 「いや、何かが通った様な気がしたのだが・・・」


 「何かが・・?いや、気のせいではないのか?」


 「そうか・・・。」


 彼女達の正面から堂々と天幕に侵入した迅重は取り敢えず未だに軍議中な状況を見て笑いそうになる。


 「(この面子で全員が女って完全に平行世界パラレルワールドだな。にしても曹操だと思われる子はちっこい上にドリルロールだが袁紹は高飛車お嬢様って孫策は孫策で色気のある女性だし劉備はのほほんとした感じだな・・。で、横にいる奴が一刀・・・天の御使いか・・。)」


 迅重が大体のメンツの確認をしていると高飛車お嬢様改め、袁本初が口を開く。


 「さて、この軍議で決めるのはこの連合軍の総大将を決める事なのですけれども一向に誰も立候補しないのはどう言う事ですの?」


 「あら、そんなメンドクサイ事は私は辞退させて貰うわ。」


 「もう麗羽で良いでしょ?」


 「わ、私もそれでいいかと思います。」


 「そ、そうですか?やはり格式のある名家たる袁家の長たる私が指揮を執った方がよろしいようですわね!」


 口元に手を当てて高らかに笑う様を周囲の人間は溜め息を吐きたくなる衝動に駆られるが次の瞬間に時が止まったかのように感じる。


 「あはははは・・・ヤバ!?」


 「だ、誰!?」


 「く、曲者!?」


 「董卓軍の間者か!?」


 全員が声のあった方を見ると漆黒の中華服に身を包んだ黒髪の女がいた。


 「貴女は誰ですの!?」


 「・・・ニュアンスが違う気がしたから訂正するが俺は男だ。」


 「カタカナ・・!?」


 「ご主人様?」


 「ぷっ!一刀、女の子にご主人様って呼ばせるとか及川の事を変態呼ばわりできないな?」


 「ちが・・って、迅重!?今までどこに?」


 「ん?今の俺は董卓軍に身を置いているぞ?」


 迅重のその言葉に軍議の場に緊張と殺気が満ちる。


 「そんなに殺気立つな・・・これは挨拶だ。これ以上は戦場で・・・」


 「貴方は兵士として出るのかしら?」


 「否、俺は董卓軍の将として戦場に立つ。君達とは正々堂々と戦ってみたいと思うよ。覇王曹孟徳、小覇王孫白符、仁徳の劉元徳。そして他の者達もな・・・袁本初、袁公路、白馬将軍公孫賛、西涼の馬騰。名のある方々がこの様に集いしこの戦場とても心躍る物になるだろうな・・。」


 自分たちが呼ばれるとは思っていなかったのか驚いた表情をする面々を見て笑みを浮かべる迅重。


 「貴方は・・・」


 「俺の名は鐵迅重。董卓軍の将にしてそこの天の御使い北郷一刀と対を成す存在の地の御使いでもある。」


 「そう・・・貴方が。」


 「という事で顔合わせは済ませたので俺は退散させて貰おうか・・・。」


 「そうはさせないわ!春蘭!」


 金髪少女が誰かを呼んだその時、天幕の入口から迅重目掛けて誰かが躍り掛かる。その際にその手に持った鈍色に輝く凶器が目に入る。


 「・・・残念。」


 「ッく・・・華琳様、申し訳ありません。」


 「春蘭!?」


 現れたのは曹操の剣・・・夏候惇元譲であったがその大剣を持った手を簡単に取ると地面に叩き付けて身動きが取れない様にされる。


 「彼女だけだと思うな!ハァァァ!」


 そこへ更に斬り掛かる者がいた。地面に味方がいるという状況の為に刺突で突進をしてくるが迅重はそれを片手でいなしてそのまま合気道の要領で今しがた襲い掛かって来た少女をも地面に倒す。


 「愛紗ちゃん!?」


 「よくよく見れば2人ともこの天幕の入口に立っていた子達か・・。その武器七星餓狼に青竜偃月刀・・・夏候惇に関羽か。どちらも猛将と名高い者か・・・やはり戦場にて会い見えるのが楽しみだな。」


 「貴様・・・!!!!」


 「おのれっ!?」


 「いつまでも君達を地面に寝かせていると後が怖いかもしれんな・・・特に夏候惇の主の方が」


 そう言って威圧感を出している曹操を見て迅重はそう告げると抑えている腕を離して一足飛びで天幕の入口に立つ。


 「それでは俺はこれにて御免!!!」


 「このままおめおめと帰す訳には・・・」


 「春蘭、止しなさい!」


 「しかし、華琳様!?」


 「彼は戦場でと言ったのよ?ならこの雪辱は戦場で晴らしなさい。」


 「は、はい!」


 ――――――――――――――――――――――――――――


 迅重の侵入があったものの軍議での総大将が決定した為に一度解散する事となった。


 「愛紗ちゃん、大丈夫?」


 「桃花様・・・私は大丈夫です。しかし、アレがご主人様と同じ御使い・・・力量が掴み切れませんでした。」


 「迅重のアレは一種の反則技に近いからね・・・。」


 「御主人様?」


 「迅重の凄い所は欠点が無さ過ぎる所だよ。文武両道を地で行く才能に頼らず、驕らない姿勢で努力をした結果が今の迅重を作っているといっても過言じゃないからね・・・前にって言っても向こうでの話だけど素手で熊を殴り殺ししたって言ったっけな・・・」


 一刀の言葉に劉備と関羽は絶句する。あの地の御使いはほんとに人間なのか疑いたくなっていた。



 オマケ


 「え、詠?これは・・・何故俺が正座をさせられているんだ?」


 「ん・・?理由が欲しい?アンタなら理解していると思うけど・・?」


 「・・・俺が悪かった。だからこの状態の月を離してくれないか?」


 連合軍から戻った迅重は月と詠のダブルコンビの責めにあっていたとかいないとか・・・

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