迅重、準備をするとのこと 拠点パートー詠ー
「詠、何があった?」
とある日、彼女の執務室に呼ばれた迅重は質問する。
「・・・十字侍のヤツラがやってくれてね、此処に連合軍が攻め込んでくるのよ。」
「・・・とうとう来たか。大方、馬鹿の袁紹に月が霊帝を傀儡にしているとでも煽って檄文を書かせたのだろうな・・。」
詠の絞り出すような声に対して迅重は溜め息を吐きながらそう答える。
「で、詠の答えは?」
「こんな所で負けるわけにはいかないわ。月が大悪人な訳ないのに・・・」
「なら、徹底抗戦だな・・。連合軍対董卓軍・・、月は悲しむかもしれないが・・」
「仕方ないけどね・・。だからこそ言うわ。迅重、キミは」
「客将を辞めろってか?なら俺はそれを辞退させて貰う。身元も何も分からない地の御使いと言う訳の分からない奴を生活できるようにこの地での知識を教え、衣食住までそろえてくれた者になんの恩返しも出来ないなんて日本人として・・・何よりも人として俺は自分を許せなく
なりそうだからな・・。」
「迅重・・」
「なにをそんなに悲痛そうな表情をしている?いつもの詠なら不遜な態度で命令するだろ?だから俺に命令しろ、月を護る為に眼前に迫る敵を斃せと」
迅重が悲痛そうな表情の詠に不敵に笑いながらそう告げる。それに対して詠は最初は呆けていたが次第に頭の中を整理すると溜め息を吐く。
「・・・私としては早く離れてくれた方が良かったんだけど、アンタは頑固で一度コレだって決めると梃でも動かないのを忘れてたわ。」
「そう言う事だ。で、詠・・軍師殿指示を」
「月を護る為に籠城戦を仕掛けるわ。アンタは虎牢関の前の汜水関にて華雄と霞の三人で・・・虎牢関には恋と寧々々の二人で行くわ。アンタには先に伝えて置くわ。」
「・・・分かった。なら、作戦前までに俺は私兵の強化をしておこう。俺の世界の知識を組み込んだ特別製の武具に身を包んだ騎兵をご覧に入れてみよう。」
不敵な笑みのまま迅重は詠にそう言う。
「だけど、これだけは言わせてもらうわ・・・絶対に死ぬんじゃないわよ?」
先程の弱い表情よりも更に弱弱しい表情と声色で乞う様に迅重を見る。
「心配し過ぎだ。これでも恋と互角以上に戦う俺だが驕って足元を掬われない様に気を付けているつもりだ。」
「そう言う事を言ってるんじゃないんだけど・・・女は度胸・・月には悪いけど」
「・・・詠?」
顔を俯かせて何かブツブツと呟く詠が心配になり近くに寄る迅重に軽い衝撃と口に伝わる柔らかい感触・・そして詠の顔が間近で窺える。そおの表情は熟れたリンゴの様に真っ赤だった。
「ん・・・い、良い?絶対に死ぬんじゃないわよ?これは・・そうお呪いよ!べ、別に好きとかそんなんじゃないからね!?」
「ふ、ふはははは!詠、これ以上に無いお呪いだよ。俄然やる気になるし死ぬ気にもなれんさ・・。|(そうだ・・俺はこの子達を護らないといけないんだ。それに義勇軍・・劉備を筆頭に天の御使いと呼ばれる男がいる。お前はそっちにいるのか一刀?)」




