迅重、飛将軍達に会うとのこと
「さて、今日は警邏の日だったな・・・。」
「迅重さん、病み上がりの様な状態ですからそんなに無理されない方が・・」
董卓邸で目を覚ました迅重が庭で型の確認をしながらそう呟くと、縁側でそれを見学していた月が迅重の事を心配する。
「目的が出来て覚悟もできた。それなのに暇を持て余すと詠が何を言って来るか分からないし、俺がジッとしているのが出来ないからな?」
「そう・・ですか。」
そう月は言って顔を俯かせる。
「心配するな・・・とは言えないけど、俺は月が笑ってる方が好きだ。だから笑顔でいてくれな?」
「へぅ・・。」
近くに来た迅重は月の頭を撫でる。その行為に俯きながらも月は返事をしたが、迅重からはその表情を窺えなかったがリンゴの様に赤くなっていたのである。
「じゃ、俺は警邏に行って来るな?」
「い、いってらっしゃい・・。」
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「・・・とは言ったものの月や詠の政策で街は至って平和で市で賑わっているな。」
「ワンワン!」
「ん?迷子の犬か・・?にしてもスカーフを巻いた犬?」
街の警邏と言う名の散歩をしながら迅重は裏道なども見て行く・・。すると店の前で赤い毛色の子犬に吠えられたので屈んでその子犬を抱える。
「セキト・・先に行っちゃダメ」
「クゥ~ン。」
そして、そこに子犬と同じような髪の色をした小柄な少女が迅重の目の前に来てそう言うと子犬・・・セキトは怒られたかのような声で鳴く。
「君は・・?」
子犬を抱えながら見た事が無い迅重は取り敢えず名を訪ねると・・・
「・・・恋。」
「もしかして・・真名か?」
「ん・・」
「初対面でそれを教えてもいいのかそれは?」
「セキトが懐てるから大丈夫。」
そう言った少女・・・恋は迅重からセキトを受取る。
「そ、そうか。|(この子、歩き方や動作に隙が無い・・何者だ?)」
「・・・お前強い、何者?」
「ッ!?|(向こうも気付いていたか・・!)俺は董卓様の所で客将をさせて貰っている鐵迅重と言う。」
「・・・月の所で?恋と同じだ」
「君も・・?君は一体・・・」
「・・・行く」
「お、おい」
迅重の制止の甲斐は無く、恋はセキトを抱えた状態で城下町の人々の中に紛れてしまい姿が見えなくなった。
「・・・いったい、なんなんだ彼女は?」
後日、迅重が詠から聞かされたのは彼女が天下の飛将軍、呂布奉先である事に驚いた事は余談である。




