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乱世の始まり



 「ここの所各村で賊の被害が多くなってきているわね…。」


 「先日は張遼の部隊が帰還途中で遭遇していたな…。日を追う事に賊が増える傾向にあるな…。」


 「賊の特徴は?」


 「奴らは衣服の一部と鉢巻きを黄色に染めた物で統一している。」


 「黄色…?」


 「俺の世界の歴史にも出てくる奴等だ。総称を黄巾党と言うな。」


 「黄巾党…。」


 「発足理由は無能な領主の無理な税の引き上げなどの圧政で村に住めなくなった農民崩れだ。」


 「その農民崩れがなんでそこまで大きくなるのよ?」


 「黄巾党を束ねる首領格、張角の存在が大きな物となるかな…。他には張宝、張梁の三人が中心となって簡単な組織化がされている。」


 「何故?」


 「さぁな。張角の言った言葉を旗印にして集まったと言うべきか…?」


 「は?何それ?」


 「蒼天すでに死す、黄天まさに立つべし。年は甲子にありて天下大吉ってな?」


 「どういう意味?」


 「詠は五行は知ってるか?」


 「五行?」


 「五行とは火、金、水、木、土の五つの属性で成り立ち、 木生火 木は燃えて火を生む。 火生土 物が燃えればあとには灰が残り、灰は土に還 る。 土生金 鉱物・金属の多くは土の中にあり、土を掘る ことによってその金属を得ることができる。 金生水 金属の表面には 凝結により水が生じる。 水生木 木は水によって養われ、水がなければ木は枯 れてしまう。と関係する。自然の中の関係性に基づいた考え方がされたものだ。これが相生だ。」


 「他にもあるのね?」


 「あるが、今の話にはあまり関係性が見れるから話したが、蒼天と黄天だがこれは相剋と呼ばれる関係性に基づいた考え方で行われたと言う説もあるんだ。」


 詠の言葉に頷いて刃重は茶を飲んで一息吐いて話を続ける。


 「 相手を打ち滅ぼして行く、陰の関係。木剋土 木は根を地中に張って土を締め付け、養分を 吸い取って土地を痩せさせる。 土剋水 土は水を濁す。また、土は水を吸い取り、常 にあふれようとする水を堤防や土塁等でせき 止める。 水剋火 水は火を消し止める。 火剋金 火は金属を熔かす。 金剋木 金属製の斧や鋸は木を傷つけ、切り倒す。 元々は「相勝」だったが、「相生」と音が重 なってしまうため、「相克」⇒「相剋」となっ た。「克」には戦って勝つという意味がある。 「剋」は「克」にある戦いの意味を強調するた めに刃物である「刂」を「克」に付加した文字 である。同様に克に武器を意味する「寸」を加 えた尅を使うこともある。となる。蒼天は水、黄天は土と…意味は理解したか? 」


 長い説明の中で詠は徐々に顔をしかめる。


 「大体はね…。つまり黄巾党は漢王朝を滅ぼして自分達が上に立とうとしてるわけね?」


 「そう言うことだ。」


 「なら討伐隊を編成しなきゃじゃない!漢王朝が滅ぼされたら…」


 「混乱になると…?既に他の村では領主の所為で餓死者も出ていると言うのにか?」


 「それでも…」


 「まぁ、袁術、袁紹の軍に西の錦馬謄に白馬の公孫賛。後は勢力が大きくなりつつある曹操って所だったかな?後は劉備と天の御使いと呼ばれる者を旗印にして結成された義勇軍って所か?」


 「…何時の間にそこまで調べたのよ?」


 迅重の言葉に眼鏡がずれたのを直しながら詠は聞く。


 「忍者と言う俺の世界の隠密を結成して情報収集をさせてみたんだ。」


 「隠密…?」


 「あまり表に出て来ない裏の人間と言う認識で構わないが?」


 「…アンタの事で深く考えない方が良いのかもしれないわね。」


 「どういう事だ?」


 詠の呆れた口調に首を傾げる迅重であった。


 ――――――――――――――――――――――


 「皆と言っても華雄と呂布に陳宮がまだだけど…軍議を始めるわよ。」


 「軍議言うても華雄に恋がいないっちゅうのにな…。」


 「霞、五月蠅いわね。んんっ!迅重には5千の兵を引き攣れて「ちょっと待った。」なに…?」


 「俺は兵を引き連れた事が無いから単独で行く。」


 「なッ!?アンタ馬鹿なの!相手は威力偵察隊だと思うけど数は約1万はいるのよ!?1人でなんて死ぬ気?」


 「最初(はな)から死ぬ気なんて更々ないしお前らを護るためなら負ける気がしないね。」


 「な、何言ってるのよ!」


 「おぉ、詠の顔が真っ赤や!」


 「うっさい!」


 相手は1万の軍勢。だが対する此方は他の遠征に猛将2人が欠けた状態で城の警備もある事から霞か迅重が出る事に成るのだが迅重は単独で出撃すると詠に言うと反論される。しかし、迅重の表情は不敵なまでの笑みを浮かべながら歯の浮く様な台詞を真顔で真剣に吐く。


 「で、なんで単独で行くと言うのか理由はあるのよね?」


 「勿論だ。俺の場合、集団行動をした事も無いし指揮を執った事も無いから連携や陣の形成に手間取る事から単独の方が移動も早く攪乱も出来るからだ。」


 「…絶対に無茶はしないのよ?」


 「神算鬼謀が何を言う。いざと言う時には斬り捨ててでも護り抜けよ。自身の信念を…な。」


 そう言って迅重は軍議の席から立ち何処かへと向かう。


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