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魔王のわがまま

予定なしの見切り発車、その上、超不定期更新ではありますが、

気分が悪くならない程度にお読みください

 地面は溶岩で煮え滾り、空から光が届くことは無い。地獄と形容されるここは、魔界。そこには人間たちが忘れて行った幻想の生き物たちが蠢いていた。そこを統治するは、魔王。その名の通り、魔界の王である彼らは、永遠とも称すべき寿命を刹那的に楽しみ、その役目を次の世代に託した。

 魔界が発生してからおよそ二千年。第百三十二代魔王ソフィアは、かつてその存在を否定された魔女の一族であった。彼女は魔王の唯一にして最大かつ、一度だけその使用を許される権限を使い、禁忌とされていた、人間たちとコンタクトを行った。


 その権限は、魔王こどものわがままと呼ばれている。





 西暦二○三四年、残存資源の枯渇に悩まされる日本に、国連特別研究機関、通称、ブラックボックスの極東支部が設立された。大手自動車メーカーの主任から零細の末端まで、日本中の技術、科学、研究者が集められたが、その研究内容は門外不出。ネット上の書き込みには『宇宙人からのメッセージにどう答えるか話し合っている』だとか『地球滅亡を阻止するプロジェクト』だなどと、元々の課題から外れた憶測までもが飛び交った。


 その翌年二〇三五年、ブラックボックス極東支部から人類の革新を担う新たな因子を発見したとの発表がもたらされた。それはヤマト-因子と名付けられ、人々の生活をことごとく覆した。


 人々は「高度に発達した科学は魔法と区別がつかない」という言葉を思い出した。






 闇の中に霞む二対の瞳が、交錯することなく言葉を重ねる。

「本当によろしかったのですか? お嬢様」

「良いの。元々『あちら側』の考えって貴女も知っているでしょ? 私はそれを少々手を加えて還元しただけなの」

「お嬢様が二十年かけて研究なされたものですよ! 他にも御先祖様方の研究まで持ち出して……」

「許可は頂いたし、もんだ…… 大丈夫だ、問題ない。それと、今後は『上』で活動することもあるだろうから、普通に魔王様と呼んで頂戴。正直、飽きたわ」

「承知しました、魔王様」

「それにしても、深淵を覗くときは深淵からも覗かれるとは良く言ったものね。でも少し惜しいわ」

 魔王は恍惚とした表情で見上げる。


「そんなにも明るかったら、ほら、後ろまで見えちゃうわよ」

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