紅葉狩り その7
バサァァァァッ!!
紅葉の光をまとったピースケが、
秋空を切り裂いて飛びます。
赤。
金。
橙。
無数の落ち葉が後ろへ尾を引き、
まるで巨大な流れ星でした。
ショウタが叫びます。
「うおぉぉぉぉ!!」
山神も咆哮します。
ゴォォォォォ!!
その声に応えるように、
山中の紅葉が一斉に輝きました。
一方――
枯れ樹は怒り狂っています。
巨大な目が真っ赤に染まり、
黒い根が空を埋め尽くしました。
『朽チロォォォ!!』
根の津波。
山を飲み込む勢いです。
でも。
ピースケは止まりません。
巨大な羽を広げたまま、
静かに前を見ています。
サヨが祈るように叫びました。
「ピースケー!!」
その瞬間――
山神の角がさらに強く光りました。
ピカァァァ!!
紅葉の風が吹き荒れます。
赤い葉が、
黒い葉を押し返していく。
そして。
ピースケが羽ばたきました。
ドォン!!
衝撃波。
黒い根が吹き飛びます。
ショウタが目を丸くしました。
「強ぇぇぇ!!」
しかし。
枯れ樹の目はなおも開きます。
ギロォォォ!!
黒い霧が噴き出しました。
空まで真っ黒。
山そのものが腐り始めています。
クロノワールが低く言います。
「間に合わん。」
そのとき。
ピースケは、
羽に乗った一枚の紅葉を見ました。
小さな赤い葉。
風に揺れています。
そして、
ふっと笑いました。
「散るからこそ、次が来るんです。」
静かな声。
でも。
不思議と山全体へ響きました。
その瞬間――
山の木々がざわめきます。
サワサワサワ……。
まるで、
山そのものが応えたみたいに。
すると。
紅葉が一斉に空へ舞い上がりました。
赤。
黄色。
金色。
巨大な葉の渦。
ショウタが叫びます。
「うわぁぁ……!」
枯れ樹の黒い葉が、
少しずつ押し返されていきます。
山神が前へ踏み出しました。
ズゥゥン!!
巨大な角を振り上げます。
『山は巡る。』
その声と同時に――
ピースケが加速。
紅葉の光が一直線になります。
枯れ樹の巨大な目が、
驚いたように見開かれました。
『ナ――』
ドゴォォォォォォン!!!
直撃。
紅葉の大爆発。
山全体が金色の光に包まれました。
ショウタたちは思わず目を閉じます。
風。
光。
舞い散る葉。
そして――
パキン。
静かな音。
巨大な枯れ樹の目に、
大きなヒビが入りました。
『ア……。』
黒い葉が崩れ落ちていきます。
巨大な幹も、
少しずつ光へ変わっていました。
サヨが涙ぐみます。
「終わる……。」
枯れ樹は苦しそうに揺れていました。
でも。
怒りの声はもうありません。
ただ、
長い眠りから目覚めたみたいに静かでした。
そして最後に――
黒い木の枝先に、
小さな赤い葉が一枚だけ咲きました。
風が吹きます。
その葉は空へ舞い上がり、
夕日に照らされながら、
ゆっくり消えていったのでした。




