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第二話『能力』


 俺、女の子になっちゃったんだな……

 前世で、男が女体化する。つまり、TS系の作品を読んだことがある。もちろんエロ小説だ。

 あの時は「女の子になるのってどんな気分なんだろう」とか思っていたけど、実際になってみると地獄だぁ〜。


 なにせ一番地獄なのは体格だ。男の体から急に女の体になると、少し不便さを感じる。

 てか何だよ! 胸が重い。こんなの付けて毎回歩いているのかよ。世の女性恐るべし。


 俺は……いや、この場合、女体化したから「私」が正解なのか? 俺は歩く……私は歩く……俺の方がしっくりくるから一人称は俺のままでいいか。

 そんなことより能力だ。確か、自分と同じくらいかそれより小さいものをコピーできる能力だっけ。試すか。


 なぜかその能力の使い方を本能で理解していた。

 足元に落ちている枝を左手で拾い、イメージする。能力を使うには魔力を手に込める必要がある。


「自分の内から力が湧いてくるのを感じる。これが魔力か。集中……集中」


 心臓部分から右手まで魔力を流し、込める。森の木々が風で靡いた。その瞬間、俺は能力を発動させた。


「コピー!」


 能力を叫ぶのはどうかと思うが、やってみたかったのでやってみた。

 自分の右手を見た。そこには左手に持っていた枝と全く同じ枝が存在していた。


 俺は瞬時に、自分を囲む木々の中で最も大きいのを選び、能力を発動した。


「やっぱり自分より大きいものはコピーできないんだな」


 そう呟いた瞬間、何かヤバいものが近づいてくるのを感じた。とにかくヤバい……ような? もの?

 俺の眼前には、小さくて白い毛並みをしたウサギがいた。とてもプリティーな顔をしたウサギだ。

 俺は可愛い動物はとにかく撫でたくなるタイプだ。前世じゃ、撫でようとした瞬間噛みつかれてたけど。


 ウサギが逃げないよう、ゆっくり間合いを詰める。

 一歩、二歩と。確実に。


 触れる寸前、背後から叫び声がした。


うぇれうぇいれ(横に跳んで)〜!」


 何を言っているか分からないが、なぜか理解できた。俺は指示通り横に跳んだ。

 それと同時にウサギは巨大な魔獣へと体を変形させた。体長は三メートルを優に超え、人型の一つ目に巨大な鉤爪、コウモリのような漆黒の翼を持つ――そんな化け物だ。

 その魔獣の横を火の球が貫いた。


「あっぶなっ!」


 あんなに可愛かったウサギが……。この世界、他の二つの世界の方がマシだった説あるかも……。とはいえ、さっきの火球なんだ?


 その瞬間、肩に手が置かれた。ビビりながら振り向く。


 あらま。可愛い。無いはず母性が出ちゃう。TS(女体化)の影響か?

 目の前には、ロングと言うには短く、ショートというには長い――艶やかな白髪に蒼く透き通った瞳。慎ましやかな胸、それに華奢な足。そして赤いローブ。

 要約すると、儚げなお嬢様系美少女だった。


「うぇれうぇうぅえ」


 何言ってるか全然分からん。さっきは理解できたのに。いや、聞いたことあるな。

 思い出す――これ、あれだ。ど◯ぶつの森だ。ど◯ぶつの森の住民たちの声だ。


 てか、こういう異世界転生物って異世界語自動翻訳機能みたいなのが付いてるもんじゃないのか? 某猫型ロボットの秘密道具、翻訳こんに◯くみたいな。


 その刹那、周囲の音が消え、俺の脳内に誰かの声が響いた。数時間前に会ったあの美女の声だ。


「あ〜伝え忘れていたことがあったんだけど」


「ちゃんと言えよ」


「先輩、黙っててください」


 何か言い合ってる……。


「何ですか?」


「実は、あの〜三つ目の君がいる世界についての説明が不十分だったんだよね〜」


 不十分っ?! 変だなとは思っていたが……女体化してたし。


「何が足りなかったんですか?」


「あ〜その世界で転生するのが男なら女体化するよ、ってことと、色々とヤバァイ人ばっかりの世界で、たまに常識人がいるってことを紙に記載するの忘れてたんだ〜。まぁ、気にしてないよね〜?」


 は? いやいや気にするわ。え、何この人。不十分すぎるだろ。女体化と……え? 何? ヤバァイ人ってどういう方向性にヤバいの?


「ヤバァイ人って具体的に……?」


「分かんない。まぁ頑張ってねぇ〜。重要なことは伝えたから〜」


「ちょっと待てぇ!」


「何〜? うるさいな〜」


 コイツぅ。覚えとけよ。魔王倒した後、絶対お前のいるところに行って一発引っ叩いてやる。


「せめてお詫びに何かボーナスみたいなの無いんですか?」


「あ〜じゃあ、あらゆる言語を理解できる能力あげる〜。まぁ私があげるの忘れただけなんだけどね。それじゃあバイバイ〜」


「は? おい。クッ! 切りやがった!」


 落ち着け、落ち着くんだ俺……。取り敢えず、さっきアイツが話していた能力のおかげで、この美少女が何を話しているのか理解できるようになったはずだ。周りの音が戻っていく。


 それと同時に、儚げなお嬢様系美少女の言っていることが理解できた。


「バーカ。バーカ」


 え?


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