第2話『もうクライマックス!?』
その目は沈黙する俺を糾弾するがごとく鋭さをどんどん増していった。
「アレク王子。ふざけているのですか!先ほど、この危機を脱する妙案が思いついたから、皆を呼べとそうおっしゃったから、こうして急ぎで皆を呼んだのですよ。」
「えっと~...」
「まさか!?冗談だったとか言わないですよね!」
何だ!この状況!おいおい。妙案ってなんだ。というか今の危機的状況すらろくに分かっていないんだぞ!何てタイミングで転生させやがる。こんな状況誰であっても上手くいかないだろう!
「セバスよ。アレクをそう焦らすでない。いつだってアレクはその素晴らしい策でもってこの国をお救いになってきたではないか。今回もそのはずさ。今は少し頼りない雰囲気になっておられるが...」
「しかし、もう敵軍は目の前にいるのですよ!すぐに指示が無いとこの国は滅びます!」
うそ!そんなに困窮しているの!聞いてないよ。しかも俺ってそんなに頼られていた王子なの!?気まずい雰囲気だよ!どうしたらいいか分かんねーよ。落ち着け!まずは状況の整理からだよな。
「おほん。セバスよ。まずは現状の説明から改めてしてほしい。」
「アレク様!?何を悠長な!」
セバスさん!?そのくらい教えてくれてもいいのではないですか!?僕ここに来て1分もたってないのですよ。
セバス?という配下的な人物に問い詰められあたふたしていると、大きな扉が勢いよく開かれ、兵士らしき人物が入ってきた。
「城門突破されました!敵の数は300を超えており、魔法師も20を確認しております!」
突破された!もうピンチなのね。というか魔法師!?魔法あるの?この世界。うわー、俺の次の発言待ちだよ。気まずい...
「アレクよ!」
「は、はい!?...」
どうしようか?分からないよ。この世界来たばかりの俺がこんな状況で何かできるわけないじゃん!
「...うーむ仕方あるまい。この城を手放そう。」
「王よ!良いのですか!?ここはランドルフ家が300年受け継いできた由緒正しき城。それを簡単に。」
「セバスよ。これは一つの過程過ぎない。アレクもよく聞け。儂の命とこの城はこの進軍にて失われるだろう。しかし、それによってランドルフ家が完全に滅びるわけではない。ましてやマアルト国がなくなるわけでもない。次の好機を狙うための必要な歴史の1つなのだ。」
300年の歴史が終わる!?この目の前の良い人そうな老人が死ぬ!?俺のせいなのか?そんな...
「アレクよ。これまで、お前の策によって何度もこの城は窮地から逃れてきた。しかし毎回のように、お前が私たちを救ってくれるわけではない。しかしお前のその才覚は本物だと私は信じている。ならば今は生きろ!とにかく生き永らえよ!この地で失われた尊い命と私にとって、お前の存在、お前の未来こそが希望なのだ。」
え~!いきなりクライマックスだよ。王様?死ぬの?お城失うの?俺いきなり敗北?マジで何なんだよ!
「王よ...。あなた様の覚悟、決して無駄にはしません!必ずやアレク王子をこの窮地から生き伸びさせ、ランドルフ家の再興を約束いたします!」
「ああ、頼んだぞ!アレク、セバスよ、さあ行け!」
「分かりました!王よ!必ずや生き延び、失われた命に報います!」
ああ。何を言っているんだ。俺は。流れで格好のいいことを言ってしまったが、そんな情を持てるほどの時間やら何やらが用意されていないんだよ!
しかし、偉大な決断をしたであろう王に、覚悟の決まった真剣な面持ちと目を自然と向けていた。
「アレク王子、正面はもうすでに突破できません。裏道から脱出になります。」
そういうとセバスは絨毯をめくり、そこに現れた隠し扉を開いた。




