鬼っ子4
すでに「魔女」と決めつけてはいたが、稀有な出会いに、ヒカリはじわじわと興奮してきた。
「なるほど。
おまえが、星が並ぶ夜に仕込まれた子なんだね」
魔女の言葉には、思わず耳を傾けたくなるような不思議な魅力があった。
「……おれのこと、知ってるの?」
「よ~く知ってるよ。
お前の両親は、カタバミ族のランとマツヨイ族のトキ。
二人とも、もう亡くなっている。
お前の保護者は、カタバミ族の、コマとチョウだろ」
「なんで知ってるの?」
「魔女だからね」
魔女は腕をゆっくりと持ち上げると、フードを脱いだ。
髪もない、崩れそうなオレンジ色の頭と顔が現れた。
ヒカリは、はっと口を押さえた。
さすがに、うかつなことを言ってはならないと、ヒカリにもわかった。
魔女は、青い瞳をきらめかせ、ゆるい口元をなんとなくゆがめてみせた。
「どうだい?」
「べつに?」
ヒカリは、きまり悪くなって、足元に目を落とした。
じろじろ見られる気持ち悪さは、よく知っていたのに。
妖精のごとき、きれいな声が語り始めた。
「なぜかわからないが、わたしは、この姿で生まれた。
そして当たり前だが、わたしの精神は、一生、この器を使わねばならない」
ヒカリは、こくこくとうなずいた。
ヒカリにだって、程度の差こそあれ、人と違う、そのやりきれなさはわかる。
「人はこの器を見て、わたしを魔女と呼ぶ。
中身がどうかなんて、だれも考えない。
だがわたしは、運命を呪いはしない。
この器は、わたしの生きる道を示してくれた。
他人にわずらわされることなく、研究する道を」
「研究しているの? なにを?」
チョウばあさんのように、天候の研究だろうか?
コマばあさんのように、だれかの秘密についての研究だろうか?
「わたしは、まあ、総合的な研究だよ。
歴史、生物、環境、哲学など、興味のおもむくままに、調べては考察しているのさ」




