少女1
寒い。
ヒカリは震えて目を覚また。
目の前には、薄暗い空洞。
先細りの向こうは、闇。
身体の下には、ひんやりとした固い石の床。
こわばった体をやっとのことで起こすと、ヒカリは座ったまま、手で身体のあちこちをさすった。
さすりながら、周りを見回す。
日光は?
日光がほしい。
身体を暖め、お腹も満たす光が。
すぐそこに、斜めに掃いたような長い光の束が差し込んでいた。
ヒカリは急いでそこに這い寄ると、光が入ってきている方に、目を上げた。
石造りの壁にうがたれた、細長い、窓。
ヒカリは立ち上がり、窓にすがりついた。
まぶしい。
しばらく目を閉じて慣らしてから、少しずつ目を開けた。
窓は細くて、ヒカリの顔の幅もない。
左目と右目を交代で窓に当てながら、ヒカリは外を見た。
ここは、周囲よりもずっと高い所らしい。
ずいぶんと、見晴らしがいい。
雲一つない青い空の下にはうっすらと、緑の丘。
手前に視線をずらしていくと、緑の原野から、炭色の地帯。
そこからすぐ眼下までは、白っぽい砂ばかりの地帯。
あそこが、アザミ族のコロニーだった場所だとしたら。
やっぱりここは、塔の中なんだ。
「くそっ! 師匠め! いや、死神のやつ!」
ここを出て、コロニーに帰らなければ。
あれからどのくらい、時がたったのだろう?
急がなければ。
思いつく限りの悪態をつきながら、ヒカリは出口を探そうと振り返った。
初めは、明るい所から急に暗いところに目を移したから、ぼやけたのかと、思った。
なにか、白いものが、ゆらゆらと揺れている。
目をこらすと、少しずつ、それは大きくなった。
そしてもう、ヒカリの目の前にいた。
逃げるにしても、間に合わない。
切迫した息づかいが聞こえる。
ヒカリは、突き飛ばそうと、身構えた。




