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王花  作者: 小野島ごろう
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鬼っ子2

 案の定(あんのじょう)、コマはうっとりとチョウによりかかった。



 

 そういえば、この二人はまだ、毎年のように子どもを飛ばしているのだった。


 チョウばあさんは、コマばあさんのどこがいいんだか。

 隣同士になったが運の尽き?

 それとも、これがいわゆる、「(たで)食う虫も好き好き」ってやつか?



 無遠慮に眺めるヒカリの視線に、こほん、とコマが姿勢を正した。



「ヒカリ。このところの、わしらの顔を見て、なにか気が付かないか?」


 ヒカリは、まじまじと二人を見たが、よくわからない。

 しかし、年寄りはいたわられたいものだというから。


「顔色が、……少し、悪い、かな?」



 コマは、緑色の顔に、ちょっと笑いじわを浮かべた。

「おや。少しはお前も賢くなったみたいだのう」



 正解だったようだ。

 ヒカリは、あいまいにほほ笑んでおく。

 本当のところは、緑色の顔色なんて、どうなったら悪いと言えるのか、まるでわからない。



「じつは、水が足りないんじゃ」


 そういえば。

 このところ、水を飲むのに、なかなか水辺にたどり着かなくなっていた。


 ヒカリは、川を見下ろした。


 向こう岸に、大きな柳が数本ある。

 しなだれたたくさんの枝。

 いつも川面に浸かっていたその枝先は、遠い水面を虚しく手招いている。

 



 チョウが、淡々と補足した。


「この夏は、暑い上に、極端に雨が少ない。

朝から、容赦ない日差しが降り注ぐ。

乾ききっている上に一日中強い日差しで、これでは干からびてしまう」


「だから、おれが水を運んでいるじゃないか」

 ヒカリは思わず口走ってから、しまったと口を押さえた。

 昨日はあちこちで遊び(ほう)けて、そのまま野原で寝てしまったのだった。


「ほう。今日は、えらく喉がカラカラだが」

 コマがわざとらしく、乾いた咳をしてみせる。

「ちょっと、用事があったんだ……」

 ヒカリは、もごもごと言い訳をする。


「ともかく」

 チョウが、続けた。

「コマとわしは、お前に、時々は水を運んでもらえるから、まだいい。

だが、他の者たちは、もう我慢の限界だ」



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