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王花  作者: 小野島ごろう
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支援者6

 ヒカリは話すことが難しい。

 師匠は、余計なことは言わない性質だ。

 自然と二人は黙って歩いた。



 さっきからなにやら低い振動音が響いていたが、いよいよそれが大きくなった。

 歩いていても地面の揺れを感じるほどだ。

 歩きにくいのでヒカリは壁にすがってみたが、岩肌はなめらかで、とっかかりもないのだった。



「巨人たちが、すぐ上を通過中なのだろう」

 師匠が、振り返って注意した。


「この深さであれば、崩落はしない。

だが、急ごう」




 ヒカリは、巨人たちの様子を思い返した。

 彼らは楽し気に、嬉しそうに、ワクワクしながら外の世界に向かっているのだろう。


 アザミ族がもういなくなったので、彼らは自由になったのだ。


 だが、そのむこうには、クサギ族がいる。



 そこまで考えて、ヒカリははっとした。




 クサギ族の使命がどうのとか言っていたけど。

 あれは、こういうことだったのか!


 かれらは、アザミ族に次いで、巨人を防いでいたのだ。



 だが、彼らは巨人を押し返すことができるのだろうか?

 あんなに大きくて強そうな巨人相手に、あの臭いだけで、対抗できるのだろうか?



 とにかくものすごい臭いだったから、ある程度はもつかもしれない。


 しかし、巨人たちがなにか突破する手段を思いついたとしたら?

 それくらいの知性をもっていたら?

 

 

 臭いし、不愛想だったけれど、決して攻撃的ではなかったクサギ族の人たちを思い出して、ヒカリはなんだか胸騒ぎがしてきた。



 そして、もしも万が一、クサギ族を突破して、巨人が外界にあふれ出したとしたら。




 雑食。

 師匠の言葉が、今さら、重みをもってよみがえってきた。




「ひひょう」

 いてもたってもいられなくなったヒカリは、なんとか師匠に呼びかけた。


 師匠は、頭だけちょっと振り向いて、

「どうした?

しゃべらない方が、治りは早い。

話したくても、丸一日くらいは、がまんしなさい。

それとも、また腹が減ったか?」



 ヒカリは、いそいで首を振った。


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